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  1. 熊本県議会 1991-06-01
    06月25日-04号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成 3年 6月 定例会┌──────────────────┐│  第 四 号(六月二十五日)   │└──────────────────┘ 平 成 三 年  熊本県議会六月定例会会議録    第四号──────────────────────────平成三年六月二十五日(火曜日)    ───────────────────   議事日程 第四号  平成三年六月二十五日(火曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ─────────────────── 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ───────○───────出席議員(五十五名)                 三 浦 一 水 君                 坂 本 哲 志 君                 舟 津 髙 則 君                 園 村 敬 二 君                 川 上 善 喜 君                 河 端 俊 夫 君                 江 口 隆 一 君                 下 田 耕 士 君                 林 田 博 達 君                 渡 辺 利 男 君                 大仁田 貞 夫 君                 高 野 誠 一 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 草 村   照 君                 松 村   昭 君                 久 保 立 明 君                 児 玉 文 雄 君                 福 村 三 男 君                 前 田 貞 治 君                 竹 口 博 己 君                 本 田 良 一 君                 池 田 貞 俊 君                 小早川 宗一郎 君                 岩 下 榮 一 君                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 島 津 勇 典 君                 大 西 靖 一 君                 倉 重   剛 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 山 本   靖 君                 杉 森 猛 夫 君                 西 岡 勝 成 君                 阿曽田   清 君                 三 角 保 之 君                 山 本 秀 久 君                 八 浪 知 行 君                 髙 田 昭二郎 君                 馬 場 三 則 君                 古 閑 三 博 君                 広 瀬 博 美 君                 柴 田 徳 義 君                 平 川 和 人 君                 金 子 康 男 君                 米 原 賢 士 君                 小 材   学 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 小 谷 久爾夫 君                 今 井   洸 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(一名)                 北 里 達之助 君    ───────────────────説明のため出席した者          知事     福 島 譲 二 君          副知事    松 村 敏 人 君          出納長    木 村 剛 勝 君          総務部長   青 木   豊 君          企画開発部長 飯 原 一 樹 君          福祉生活部長 東 瀬 偉 一 君          衛生部長   星 子   亘 君          環境公害部長 魚 住 汎 輝 君          商工観光労働          部長     東 坂   力 君          農政部長   木 村 幸次郎 君          林務水産部長 松 尾 隆 樹 君          土木部長   杉 浦 健 次 君          公営企業          管理者    小 澤   豪 君          教育委員会          委員長    中 上   幸 君          教育長    佐 藤 幸 一 君          警察本部長  村 井   温 君          人事委員会          事務局長   中 島 伸 之 君          監査委員   野 口   浩 君    ───────────────────事務局職員出席者          事務局長   松 見 廣 海          事務局次長  竹 原 純 忠          議事課長   永 井 洋 一          議事課長補佐 山 下 浩一郎          主事     小 池 二 郎      ───────○───────  午前十時五分開議 ○議長(平川和人君) これより本日の会議を開きます。      ───────○─────── △日程第一 一般質問 ○議長(平川和人君) 日程に従いまして、日程第一、昨日に引き続き一般質問を行います。 広瀬博美君。  〔広瀬博美君登壇〕(拍手) ◆(広瀬博美君) 公明党を代表しまして、一般質問を行いたいと思います。 まず最初に、第二期テクノポリス開発構想について質問をしたいと思います。 熊本テクノポリスは、先端技術産業を核とした産学住の機能がバランスよく整備された潤いのあるまちづくりであります。第二の開国と言われたテクノポリスの指定から七年が過ぎました。この間、先端技術産業研究開発機関、ソフトウエアなどの集積ゾーンであるテクノポリスリサーチパークでは、既にテクノポリスセンター電子応用機械技術研究所が稼働しております。最近では、日本を代表するハイテク産業である松下電器、日本電気、富士通などの進出が相次いで決定しております。このような熊本テクノポリス計画進捗度は、全国二十五カ所のテクノポリスの中でもトップクラスの優等生だと思います。 しかしながら、熊本テクノポリス計画の大きな柱の一つだった地場企業への技術移転がほとんど進んでおりません。そのほか、おくれが指摘されているものとして、一つはバイオテクノロジー部門のおくれであります。熊本県はバイオの宝庫と言われ、バイオの集積も多くありますが、その優位性が全く生かされていないことであります。二つ目は住環境の整備がおくれておりまして、解決すべき課題は多く、テクノポリス計画は、まさにこれからが正念場と言っても過言ではありません。 そこでお尋ねしたいのは、第二期テクノポリス構想の中で、今指摘したおくれている問題について、どのように反省し、具体化していくのか、お伺いしたいと思います。 次に、テクノポリスリサーチパークの整備についてであります。 テクノ・リサーチパークの進出企業が本格的に操業開始をしますと、同パークの技術者数は三千人程度になる予定とされていますが、そうなると、一つの街として、住宅建設、銀行、郵便局、スーパー、ホテル、インテリジェント化されたコンベンションホールの設置など、生活利便施設を備えた街づくりが必要と考えますが、今後どのような整備をしていこうとされるのか、計画を明らかにしていただきたいと思います。 次に、加工産業の育成についてであります。 熊本県の経済構造の一つの特徴は、半導体を中心とした高度ハイテク産業のウエートが大きく、県内の製造業生産額の二割強を占めているということであります。特に、半導体はシリコンアイランドと呼ばれ、九州の中でも中心的な地位を占めており、その生産額は、九州の四割弱、全国の一割にも達しています。これが本体企業のほか、下請企業群の雇用などを通じて地方に大きな経済効果をもたらすばかりでなく、ハイテク熊本イメージづくりにも寄与しているところであります。 しかしながら、これら半導体などのハイテク材料を使った組み立て産業が少なく、中抜け経済とも言われる素材供給基地にとどまっている状況であります。今後の県勢浮揚のためにも、素材型産業から、より付加価値の高い加工産業への転換が求められているところであります。加工産業の育成について、第二期テクノ開発構想でどのように考えていくのか、お尋ねをします。 次に、産業構造の転換についてお尋ねをします。 この問題については、福島知事も常々おっしゃっておられまして、私も全く同感であります。御承知のとおり生産額で見ますと、本県は一次産業の比率が高くなっております。全国平均は、一次産業が二・八%、二次産業が三五・九%、三次産業が六一・三%でございますが、本県は、一次産業が七・四%と全国平均より五%ほど高く、二次産業が二七・三%と全国平均に比べて八%ほど低くなっております。三次産業は六五・三%で、全国平均よりちょっと高いという状況にあります。全国の順位で見ますと、一次産業は全国で八番目、二次産業は二十七番目、三次産業は二十番目ということで、数字でも明らかなように二次産業の生産額が真ん中より下にあります。今後この二次産業をいかに強化していくかということが熊本県の課題であろうと思います。 よく、経済のソフト化サービス化ということが言われるわけですが、雇用や所得をふやして地域経済を牽引しているのは、やはり何といっても製造業でございます。製造業のシェアを調べてみますと、昭和四十年代は二五%でしたが、しかし昭和六十二年には、それが三五%と一〇%もはね上がっているわけで、よく言われる経済のソフト化サービス化というのは必ずしも正確な表現ではないと思います。製造業のシェアがますます伸びてきていることが、日本の経済をしっかり下支えしている大きな理由であろうと私は思っております。 ちなみに、先進国のすべてでやはり製造業がしっかりした比重を占めているわけです。欧米の先進国のほとんどは二五%から三〇%の間を製造業が占めております。ソフトもこれから非常に大事なことですが、ソフト化サービス化ばかりに重点が置き過ぎてしまって物をつくることを忘れてしまうと、経済は非常に危ない状態になるのではないかと思います。 そういう意味で、今後とも二次産業の中における製造業に特に力を入れていく必要があると思いますが、知事は、産業構造の転換について、具体的にどのように進めていかれるのか、お尋ねをしたいと思います。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) テクノの関連についてのお尋ねでございました。 平成二年を目標として進められてまいりました第一期のテクノ構想につきましては、第一に地域企業の技術の高度化、第二には高度技術企業の導入、第三に産業生活基盤の整備、このあたりを柱として構成をされまして、おおむね順調に進展をしてきたのではないかなと思っております。その成果は、テクノ・リサーチパークとか、あるいは熊本テクノ財団とか、その他もろもろの施設がかなり整備をされてまいりまして、全国有数の内容を持つテクノの基地が完成されつつあると言ってもいいかと思います。 まあしかし、今御質問の中にもありましたように、地場企業への技術移転というものが思うようにまだ進んでいないというところに確かにまだ問題が残っておると思います。地場企業にとってテクノポリスというものが、まだまだ身近な存在になり得ていないところに問題があるかと思います。これはもうテクノポリス自身の問題でもありますし、また地場企業自身の問題でもあろうかと思いますが、この辺が一つのやはりこれからの第二期を進めていく上に当たって注意をしなければならない点であることは、まさに御指摘の点のとおりだと思っております。 そういう意味合いにおきまして、特にバイオテクノロジー産業の振興については、農業を大切にしていかなければならない我が県としても大変これも重要な課題でありまして、県内においてバイオテクノロジー研究開発に取り組んでいる企業の数はまだまだ約四十社と限られた状況でもございます。まだバイオに手をつけていない企業の中にも研究開発意欲を持つ企業がたくさんありますし、しかし、なかなかリスクを伴う研究開発分野でありますので、なかなか手が出せないというのも現状かなと思っております。 そういう状況の中で、第二期では、特に初期的な段階にあると言わざるを得ない県内企業のバイオテクノロジー産業への取り組みを促進をし、そしてバイオの研究開発の基盤を確立するために、県内の企業の起業化、業を起こす意味での起業化を目指した研究開発に対して、資金的な援助を行う基金、バイオ研究開発基金とでも申しますか、そういうものを創設して、バイオ技術の潜在力を掘り起こして事業化につなげていくと、特にこれは農業の面でも大きな効果があるのではないかと期待をいたしておりますが、そのような基金の設置につきまして十分検討をしてまいらなければならないと思っております。同時に、第一期の反省の中で、地域企業が主体となって活躍できるような環境づくり、地元に若い人たちが残る魅力のある都市環境づくり、あるいは生活している人にとってゆとりや潤いのある生活環境づくり、こういったものが一つの大きな重点になっていくであろうと思っております。 テクノ・リサーチパークにふさわしい住環境あるいは教育環境をつくってまいらなければなりませんし、立派な生活利便施設というものもつくっていかなければならない。今お話がありましたそういう意味での施設をつくるために、商大グラウンド、約六万五千平米ほどありますが、この土地も一つの候補地として買収をしてまいりたいと思っておりますし、整備の内容につきましても今後十分に詰めてまいりたいと思っております。 なお、産業構造の転換についての御意見もございました。特に製造業に力点を置いた形での御意見の展開でございます。私も、これからの熊本の発展のために、やはり技術を興していく、そういう意味での起爆剤にもなります製造業であります。これを大切にしていかなければならないことはもちろんでありますが、やはり基本的には、一次産業、二次産業、三次産業、バランスのとれた中で、製造業の発展のためにも県政としてでき得る限りのお手伝いをしていきたいと思っておるところでございます。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) ただいま知事から答弁をいただきました。まあ第一期テクノポリスを第二の開国と位置づけるならば、地場企業の起業化を指向する第二期構想こそが地元にとって最も実現してほしいテクノポリスだと思います。ぜひ期待をしたいと、こういうふうに思います。 次に、産業構造の転換についてでございます。代表質問でも県民所得が論議されまして、今たしか全国で三十位ということで聞いております。やっぱ今後の県民所得を伸ばし、雇用の拡大を図るためには、何といっても第二次産業の中における製造業を強くしていく以外にないと私は思っておりますし、ぜひとも力を入れてほしいと、こういうふうに要望をしておきたいというふうに思います。 次に、残土処理問題について質問いたします。 政府も、この問題については重大な関心を示し、再生資源の利用の促進に関する法律、いわゆるリサイクル法を臨時国会で制定して、建設残土処理対策について取り組みを始めたところであります。建設残土は、土木工事やビル建設で出される廃棄物で、年々増加の傾向にあります。その背景としては、最近のビルの高層化の進展や地下空間の利用が進んでいることが挙げられています。県の場合、土木部が発注しました公共工事について調べたものですが、それによりますと、十一の土木事務所で、平成二年四月から十二月までの九カ月間の発生土量は百六十万立米、そのうち盛り土などで流用できた土量はわずかに七%で、捨て土量の八〇%は処理場が確保できずに困っている状態です。 次に、建設廃材処理状況ですが、これは主にコンクリート塊アスファルト塊であります。発生量は三万立米で、そのうち三〇%近くは道路工事の盛り土等に流用していますが、処理場が少なく、また、あるとしても処分地が満杯状態や、自社関係の処分、あるいは特定会社、限定した廃材のみの処分場となりつつあり、利用できないため、余儀なく遠方の処理場に運搬したり、請負業者自身で処分地を確保するなどの処置を行っていますが、熊本県においても建設廃材不法投棄も取りざたされるなど種々の問題が発生しており、発生量の抑制、中間処理による減量化、有効再利用、処分場確保などについて、早急に具体的な対策を考える時期に来ていると思います。そこで、県の今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。 次に、民間の残土処理問題についてお尋ねします。建設残土は、法的には規制を受けていないため、全国的に不法投棄が頻発して大きな社会問題となっていますが、これに対応するため、各自治体では条例や指導要綱などをつくって、残土による土地の埋め立て、盛り土、堆積行為を規制していますが、熊本県においても環境保護の立場から条例とか指導要綱による規制強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。 次に、リサイクル法の中にうたってある第四条、いわゆる「(事業者等の責務)」について、県はどのような認識を持ってこれから対応しようとされておられるのか、お尋ねをしたいと思います。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 公共事業に伴う残土対策については、全国的にも大変大きな問題になっていると聞いております。本県におきましても、昨年の十二月に、土木部内におきまして、残土に関する検討委員会を設けて実態調査を行ってまいりました。 現在、公共事業を行う上で、計画の段階から、掘削とか盛り土をバランスよく設計し、また、工事と工事との間の利用を図るなど、極力残土を少なくするように努力をしておるようでございます。将来の土地利用を含めた処理地の確保といった具体的な方策についても、これから一層推進してまいりたいと思います。 御質問の民間の建設工事につきましても、有効利用を図っていく方向で指導してまいりたいと思いますし、関係機関とも十分協議して、よりよき方向に対処してまいりたいと思っております。 現在、建設残土不法投棄につきましては、直接取り締まる法律がございません。廃棄物処理法でも、残土につきましては方法がないということであります。そういうことで、今後どのような対応をとっていったがいいのか、この辺については今後さらに検討を続けてまいりたいと思っております。 なお、資源有効利用を図るという見地から、建設工事を行う中で、アスファルト塊あるいはコンクリートの塊、こういった建設廃材につきましては、現在も国において再生利用を図るための準備を行っておると聞いております。 熊本県といたしましても、その内容を踏まえて、再生資源として利用促進を図ってまいりたいと思っておりますし、再生資源の利用の促進に関する法律の第四条で、工事に携わる者が、今御指摘がありましたような趣旨において、それぞれの立場でしっかりとした配慮を行うように基本的な条文が掲げられております。その具体的な内容については、政令等でこの秋あたりに具体化されてまいると思いますので、その内容に則して、御指摘のありました建設残土等の処理問題が適切にいくように、十分になお検討し、また指導してまいりたいと思っております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) ただいま建設残土問題について答弁をいただいたわけですが、各自治体では、早急な残土処理対策が迫られている中で、最近になってようやくソフト、ハード面から解決の動きが出始めてきたわけであります。これは先日の新聞報道によりますと、建設残土有効利用のため、東京都のほか、埼玉、神奈川県、横浜市、川崎市及び民間五十社が参加して、第三セクター方式首都圏建設資源高度化センターが設立されました。このセンターは、公共性の高い工事から発生する建設残土を受けるとともに、残土を使っての土地造成などを主な事業内容としております。どうか熊本県でも有効再利用の道として早急な残土処理対策を考えてほしいと、要望しておきたいと思います。 次に、福祉問題に入ります。 父子家庭対策、父と子の家庭の対策であります。父子家庭対策についてお尋ねをします。 最近、母親の離婚、行方不明、死別などによる母親のいない父子家庭が増加しています。父子家庭の父親は、家事や育児など母子家庭にまさるとも劣らない負担を受けております。こうした父子家庭に福祉の手を差し伸べる自治体が出てきているわけでありますが、まあ依然として父子家庭は日の当たらない福祉の谷間にあると言っても過言ではありません。 最近、父子家庭に対して、せめて母子家庭並みの福祉を考えてほしいとの要望が強いわけであります。現在、父子家庭は、厚生省の調査によりますと、全国に十七万三百三十世帯あり、五年間で三・六%ふえており、その三分の二は離婚となっています。一方、熊本県の場合は、平成二年十一月一日現在の調査によりますと、二千三百八十四世帯で、五年間で二%の増加、そのうち七〇%は離婚、死別は二四%。年齢別では、四十代が一番多く五一%、三十代が三〇%となっています。職業別では、サラリーマンが六六%、自営業が二七%。収入面では、月収十八万円以上が四二%、十二万から十五万円までが一八%、十五万円から十八万円が一七%となっています。子供の世話はだれがしているかについては、未就学児では、同居の家族が見ている四七%、保育所二六%、本人が見ている一〇%、小学生では、同居の家族が見ている七〇%、本人が見ている一九%となっています。次に、現在困っていることについては、まず本人については、一つは生活費二六%、二番目は結婚二四%、三番目は就転職七・五%、四番目は相談相手七・一%、五番目は病弱五・五%となっております。次に子供については、一つは、教育、しつけ三二%、二番目は、教育、進学二四%、三番目は、子供との触れ合い一〇・四となっております。 こうした社会的に放置されている父子家庭に対して、国の対策はまことに寂しい限りでございまして、もう全くゼロに等しいという、大変おくれておるわけでございまして、厚生省には母子福祉課があり、不十分ながら母子福祉法に基づく施策が行われていますが、父子家庭に対しては法的な位置づけがありません。例えば税制面で見ますと、母子家庭には所得税、地方税に寡婦控除がありますが、父子家庭にはありません。また、母子家庭には身の上相談生活相談員がおります。そのほか、経済的自立を図るためには低利の母子福祉資金寡婦福祉資金の貸付制度、医療費助成がありますが、父子家庭にはこれらの施策は全くないのであります。母子と父子の格差は大変大きいものがあります。私の知っているFさんの場合、四年前に離婚されていますが、残業とか出張ができなくてかなりの収入減になっている、また、家事、育児にも大変な苦労をしておるということでありまして、これに対して国の福祉対策は、今も申し上げましたように非常に寂しいものでございまして、各自治体では、ここ二、三年、父子家庭に対する関心が高まり、独自に手当を支給するなど各種の施策が講じられております。 これちょっと、よその県のをちょっと紹介してみたいと思いますが、これは愛媛県の場合ですが、愛媛県の場合は、父子相談所の設置がなされておりまして、これは単県事業で行われております。これは各県事務所に二人の相談員を配置して相談を受け付けてると。また、さらに今度は、父子家庭の地区別特別相談事業といいまして、日曜日に市町村に出かけて相談を受けると、こういった事業が行われております。さらに小口資金貸付制度というのがございまして、十五万円までは無利子と、こういう制度でございます。そのほか、岐阜県の場合は、一人親触れ合い事業、新潟県では、医療費の助成事業、また慰安激励事業というものがございます。北海道におきましては、遺児福祉就学資金貸付制度事業というのがございます。また、これは東京の場合ですが、ここは非常にまた普通の県とは違って力もあるわけですが、そういう東京でも非常に立派な制度がいっぱいありますね。例えば育成手当というものがありまして、これはもう十八歳まで一人当たり一カ月一万五百円と、それから私立高校の入学貸付金、一人三十二万まで無利子ということでございます。それから都営住宅ですね、これにつきましては、新築の住宅優遇抽せん制度と、こういった制度を実施しております。さらに医療費の助成、これはもう自己負担分について助成をすると、こういうことであります。兵庫県では小口資金貸付制度、結婚に十万から二十万、生活資金に六万から十万円と、こういったあらゆる施策が各自治体で行われておるわけであります。 このように、各自治体の父子家庭対策が進んでいますが、熊本県の場合は、介護人派遣事業と、それから六月補正の新規事業で、父子家庭児童夜間養護事業の二つの事業だけでありますが、今後も時代の流れで離婚の増加が予想されます。父子家庭母子家庭も置かれている立場というのは変わらないわけでありまして、母子家庭対策も十分とは言えませんが、その格差は大変大きいものがあります。本県においても、せめて母子家庭並みの福祉に光りを当てていただきたいと思うわけであります。父子家庭対策について答弁をお願いしたいと思います。  〔福祉生活部長東瀬偉一君登壇〕 ◎福祉生活部長(東瀬偉一君) お答えいたします。 昨年十一月一日現在で父子世帯の実態調査をいたしましたけれども、その結果によりますと、昭和六十年の同月同日の調査時と比べまして、昨今の好況を反映してか、就労の機会が増大し、経済的にも健康的にも好転しまして、総じて安定化の傾向にございます。 父子家庭の福祉対策としましては、これまで、ただいま議員から御紹介ございましたように、家庭介護人派遣事業を実施してきたところでございますが、ただいまの調査結果から、父子家庭は、郡部においてふえ、しかも祖父母の手を頼りにしておりまして、母子家庭以上に児童の養育問題を抱えていることがうかがえるわけでございます。そのため、これも御紹介ございましたけれども、平成三年度から、父子家庭等の保護者が、仕事や疾病等のため、児童福祉施設等が児童を一時預かり保護する家庭養育支援事業、俗にショートステイ事業と申しますが、と、父子家庭などの保護者が仕事の都合によりまして恒常的に夜間に及ぶ場合、児童を児童福祉施設等へ通所させる父子家庭等児童夜間養護事業、俗にトワイライトステイ事業と申しますが、こういったものを実施することにいたしております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) それでは、次の質問に入ります。 高齢者保健福祉推進特別事業について質問いたします。 急速に進む高齢化に対応するため、国は、平成二年度から在宅福祉の三本柱の整備を柱とする「高齢者保健福祉推進十か年戦略」いわゆるゴールドプランをスタートさせましたが、本年度にその地方版ともいうべき高齢者保健福祉推進特別事業を開始しました。新たに設けられた高齢者保健推進事業は、地方交付税を財源として行われるもので、二本の柱から成っております。その一つは、市町村向けの地域福祉推進特別対策事業でありまして、高齢者、障害者のためのやさしいまちづくりや、保健福祉マンパワー養成のための施設整備など、福祉施設の受け皿となる施設整備の充実を目指し、ハード面から推進するものであります。二つ目は、地域福祉基金は、各自治体が設ける基金の運用益で民間ボランティア活動や福祉公社に助成するもので、絶対に不足している福祉マンパワーの確保、充実をバックアップし、ひいては福祉サービスの質的向上に寄与するものとされております。 本来、社会福祉の基本的な場は市町村であります。昨年国会で老人福祉法改正が成立したことによって、これら在宅福祉の実施主体は市町村にだんだん移行されていくでありましょう。まさに今後の福祉を考えていく上で、すべて中央でコントロールしていく国の画一化には問題があり、むしろ自治体独自の福祉政策を構築していくときが来たものと思います。その意味で、地域が対象の今回の特別事業の持つ意味は大変大きく、十カ年戦略を補完するものとして期待が大きいのであります。この事業に県としてどのように取り組んでいかれるのか、また、市町村とのかかわり合いはどのようになるのか、お尋ねをしたいと思います。  〔福祉生活部長東瀬偉一君登壇〕 ◎福祉生活部長(東瀬偉一君) お答えいたします。 急速に進展いたします高齢化に対応し、平成二年度から平成十一年度までの十カ年間に整備すべき社会福祉基盤の目標といたしまして、ただいま御紹介ございました「高齢者保健福祉推進十か年戦略」が策定されまして、さらに本年度、これを補完するため高齢者保健福祉推進特別事業が創設されたところでございます。 その内容は、一つは、地域の特性に応じた高齢者保健福祉の向上を図るための基盤整備についての単独事業に対する財政措置と、それから二つ目は、高齢者保健福祉の増進を図るため、在宅福祉の向上、生きがい・健康づくりの推進、ボランティア活動の民間福祉活動を助成するための地域福祉基金を設置する経費についての地方交付税措置等でございます。 本県といたしましては、高齢者や障害者等にやさしいまちづくり事業を、本年度から総合的、計画的に実施し、また総額二十億円の地域福祉基金を設置することといたしております。 市町村にも同趣旨の制度がございまして、高齢者、障害者等にやさしいまちづくりや高齢者の生きがいを増進する施設等の整備への取り組み、あわせて地域福祉基金を創設し、在宅福祉の向上、生きがい・健康づくりの推進、ボランティア活動の促進を図るよう、市町村にも指導してまいりたいと思っております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) ただいま部長から答弁をいただきまして、これまでの補助事業になじまなかったような地域に密着した施設の整備、こういったものが今回大変期待ができるわけでございまして、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。 次に、三歳児未満の医療費を無料にすることについて、質問をいたします。 この問題について、私は、昨年の十二月の定例会で取り上げ、また、我が党の今井議員もことし二月の代表質問で取り上げてきましたが、この問題は、県下のすべての乳幼児を抱えた、また、これから結婚しようとしている若い人たちの切なる願いでもありますので、再度質問をしたいと思います。 我が国の人口構造は、急速な高齢化が進んでいますが、これを一段と加速させているのが近年の出生率の低下であります。平成二年度の合計特殊出生率は、全国で一・五三、熊本県では一・六三でありますが、人口千人当たりの出生率は、全国で九・九、熊本県では十・三と、九州では四位であります。このため、人口減少に歯どめをかけ、少なくとも、せっかく生まれた乳幼児を病気で失うことのないよう、行政が万全の対策を講じるのは今最も必要なことであります。 九州各県の乳幼児医療費助成事業の実施状況を見ましても、熊本県の一歳未満というのは九州では最低の方であります。一方、鹿児島県では、一般医療は六歳未満、歯科には四歳未満の入院、通院とも対象になるという豪華版なのであります。他県から熊本県に移転した若いお母さん方が一番に口にするのは、熊本県は福祉がおくれてますねと、まあこう言われて大変恥ずかしい思いをするわけですが、県は六月の補正予算案に、出生率低下への対応策として、子育て環境づくり事業に約三百万円を計上しておりますが、ぜひこの中で、健やかに子供を生み育てるための環境づくりをして、三歳児医療費の無料化を実現していただきたいと思います。 以上、答弁をいただきたいと思います。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 乳児死亡率が、戦後はもう相当大変な高さでありました。昭和二十五年は、全国で千人のうち六十・一人という状態でありました。だんだんだんだん減ってまいりまして、昭和四十年で既に一八・五%、千人で十八・五人という状態でありましたが、その時点でも、熊本は二十三・二人ですから、随分と全国平均に比べて高いという現状でございましたが、その状態は、つい最近の昭和六十二年まで続いておりました。昭和六十二年で、全国で千人のうち五人が、熊本は五・二人と、わずかでありますが、全国よりも悪いという状況が続いてまいりました。そういう中で、県といたしましては、昭和四十八年からゼロ歳児医療費助成事業を実施をいたしました。その施策の効果が徐々にあらわれてきたということも言えるかと思いますが、昭和六十三年に至りまして、全国四・八人というのが、熊本では四・六人というように、全国水準を上回るような形になってまいりました。 具体的な施策の中におきましては、各県それぞれ力点の置くところが違いますので一長一短のところがありますが、私は、熊本が、一般論として、随分と福祉はおくれておりますねと言われますと、それはいかがかなと。こういうことが、やはり私は、福祉の結果として、総合的な福祉の結果としてやはりあらわれておるんだろうと思っております。 それはともかくといたしまして、乳幼児に対する医療費の助成拡大につきましては、二月の議会でも御質問がございました。その際にも答弁をいたしましたが、各県のこれまた具体的な取り組みについては、いろいろとやり方が、工夫を凝らして差があるようであります。まあ私も、例えば一歳、二歳については入院だけは見るといった、本当に困っている方について何らかのお手伝いをするという方法もあるのかなと今考えてはおりますが、昨日も問題になりましたような、全体としての出生率の低下に対する対応をこれから真剣に考えていかなければなりません。そのために庁内に連絡会議も設置する予定でおりますので、その中での議論を詰めながら、さらに本県は市町村にも大きな問題があるところでありますので、県下市町村の意向調査なども実施をしながら、そういった中で、改めて乳幼児の医療費助成の問題を今後どう進めていったがいいか、どう取り扱ったがいいか、十分に検討をしてまいりたいと思っております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) それでは次に、七・二災害の復旧状況について質問をします。 阿蘇地方を襲った七・二水害から一年がたちました。大量の土石、流木が流れ落ち、死者十一を含む大被害を出した一の宮町坂梨地区の古恵川上流では、流木対策のスリットダムの建設などが進められていますが、水害のつめ跡は余りにも大きく、完全復旧にはまだ数年を要する状況にあります。 現在までの復旧状況の進捗状況は、土木事務所によりますと、七・二水害による被害箇所は三千六百カ所、うち黒川の支流・古恵川などに約百億円を投じて三十五基の砂防ダム建設を計画、このうち二十八基は工事を発注済みで、平成五年度までには三十五基すべてが完成するという、また、流木と土石を食いとめる流木対策のスリットダムは、古恵川に五基設置されるが、完成するのはことし十月までが四基、一基は来年という状況であります。 そこでお尋ねしたいのは、用地買収などに時間がかかり過ぎて砂防ダムが梅雨前に間に合わなかったということで、地元の一の宮町においては、梅雨に入って二次災害の発生を心配する声が出ています。地元の人の話では、六月十日の大雨のときも、あと三十分降り続いていたら二次災害が発生したかもしれないと話しておられました。住民の安全を確保し、被害を最小限に食いとめるための応急対策や計画はどうなっているのか、お尋ねをします。 次に、白川改修の見通しについてお尋ねします。 昭和二十八年六月二十六日は熊本市にとって悪夢の一日でありました。白川流域は、活発化した梅雨前線のため、集中豪雨に見舞われ、白川は各地であふれ、夕刻の世安橋、小磧橋の流失をきっかけとして、熊本市内はまさに泥沼と流木の海となり、死者二百六人、行方不明二十五人、家屋の被害五万五千戸など大きな被害が出ました。その後、国、県において改修に努力をされたものの、平成元年度までで二五・六%と、遅々として進まないのが現状であります。昨年の七・二水害のときは、このような改修のおくれから、各地であふれて大きな被害をもたらしたのであります。 そこでお尋ねしたいのは、白川改修の今後の見通しについてであります。計画では、平成十年までに、流下能力を現在の千五百トンから二千トンにする予定にしていますが、これに必要な予算は四百五十億から五百億円と言われていますが、今までの予算のつき方を見ますと、平年ベースで二十五億円、この分で推移しますと、計画は大幅におくれることが心配されます。日米構造協議の生活関連事業は、十年間で四百三十兆円を投資することになっていますが、そのうち河川関係に充てられるのは三百億程度で、とても白川改修には期待できないのであります。今後の白川改修は財源確保が問題となってきますが、どのように事業を推進しようとされるのか、伺いたいと思います。 次に、立野ダム建設についてであります。建設計画は、昭和五十八年から平成九年まで全事業費四百二十億円で、白川の流下能力三千四百トンのうち四百トンをダムでカットするというものでありますが、仄聞するところでは、受益者市町村の裏負担金が地方財政法の二十八条に抵触するということで困っているようであります。基金方式や特別措置などで何とか解決できるような妙案は考えられないものかどうか、お尋ねします。また、どうしても負担金が出せない場合はダム計画はどうなるのか、お伺いしたいと思います。  〔土木部長杉浦健次君登壇〕 ◎土木部長(杉浦健次君) 古恵川の災害復旧でございますが、七・二災害の被災後早急に着手して、既に施行中であることは御案内のとおりでございます。ただ、調査設計あるいは用地取得等に日時を要しました都合もありまして、ことしの梅雨季までには完成に至っておりません。そこで、ヨナを含めた災害に対応するため、今までにできておりますダムの堆積状態を見ながら掘削をしたりして、ダムの堆砂容量を確保するようにしたいと考えております。事業の計画といたしましては、砂防災害関連事業等四つの事業をもちまして、平成二年度から流路工一・二キロ、ダム工十一基について既に施行中でございまして、平成三年度以降ダム六基を施行する予定でございます。 また、白川の改修につきましては、最も緊急な課題であるというふうに十分認識しているところでございます。お話にありましたように、建設省におかれましては、七・二災害以降、およそ十年後を目標といたしまして、毎秒二千立方メートルの流下能力を確保する緊急的な事業計画を策定し、その実現に向かって努力をしておられるところでございます。県といたしましても、白川の改修が一層促進されるように、地元と一体となって、国に対して積極的に働きかけてまいりたいと考えております。 また、立野ダムでございますが、水没地の地元であります長陽村から、昭和六十三年に国と県に対しまして、立野地区を中心といたします振興を目的とした「立野ダム建設事業に関する基本的要求書」というのが提出されております。以来、下流の受益市町とその対応について調整を図ってまいりました。要求に対する対応としましては、全国的な実施事例等を参考にして調査、検討を重ねているところでございます。また、県庁内におきましても連絡会議を設け、協議を重ねているところでございます。 いずれにいたしましても、立野ダムは、白川治水事業の大きな一翼を担う大切な施設と考えておりまして、下流の市町と協力をしながら、国とも十分連絡調整を図って何らかの形で地元の支援をできるように努めてまいりたいと考えております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 立野ダムについて答弁がありましたが、まあ何とかひとついい案を見つけ出してもらって、やはり地元町村に対する支援策、何かこう第三セクターかなんかつくってひとつ御支援をお願いしたいと、こういうふうに思います。 次に、熊本市高平校区周辺のトリクロロエチレンの汚染問題について質問をいたします。 私たちの日常生活圏から、緑と水と土で代表される自然がじわじわと後退を続けています。その後には、鉄とコンクリートとプラスチックで代表される都市的人工環境が出現しています。経済大国への成長は、同時に自然環境の破壊という大きな代償を払ったものでした。特に見逃せないことは、化学物質の増加による地下水汚染や大気汚染など、人間が許容できる限度を超えて生命そのものを脅かす自然破壊が進みつつあります。本県の場合も、地下水の枯渇や汚染が、県民生活に大きな不安を投げかけています。豊富な地下水に恵まれた本県では、水道用水の八〇%を地下水に依存しています。特に熊本市の場合はすべて地下水で賄われておるのが現状であります。 数年前からの県の調査では、トリクロロエチレンなど有害物質による汚染が発見され、県民に大きなショックを与えました。ところが、先日は、私の地元であります熊本市高平校区周辺の地下水から、発がん性物質のトリクロロエチレンが検出されました。問題の井戸は、熊本市高平校区の一部と旧北部町にまたがる地域に位置し、深さ六十メートルの調査井戸二本のうちの一本から、暫定水質基準を最高三千八百六十六倍上回る百十六ミリグラム、これは一リットル中ですが、このトリクロロエチレンが検出されました。原液に近い約四千倍の濃度のトリクロロエチレンが検出されたのは県内では初めてで、汚染井戸の周辺には八景水谷水源地など水道の水源地も多く、地元では大変心配をいたしておるところであります。 トリクロロエチレンは、機械部品や金属メッキ、ドライクリーニングなどの洗浄剤のほか、各種溶剤として使用される無色の有機塩素化合物で、発がん性が指摘されております。住民の不安を取り除き、生命の母なる地下水を守るためにも、早急な汚染源の特定、検査体制の強化、汚染物質の除去、浄化対策などが急がれるところでありますが、県として今後対策をどのように進めていかれるのか、お尋ねをしたいと思います。  〔環境公害部長魚住汎輝君登壇〕 ◎環境公害部長(魚住汎輝君) トリクロロエチレンの汚染状況のお尋ねでございますが、昨日もお答えしたわけでございますが、汚染状況の現在把握をやりまして、昨年度から実はやっておるわけでございますが、まあ一応、汚染状況につきましては、大体その調査がほぼできたのかなという感じがいたしております。 今後の対策といたしましては、その汚染原因の特定と、それと汚染土壌等の除去問題、それぞれ本年度、県と市と共同でやってまいりたいと考えております。 それで、当面、地下水、汚染された水のくみ上げなりその土壌の除去というようなこともいろいろ汚染対策として指導をしておりますが、なかなか技術的な問題、困難な問題がございますので、今後、国等の、国なり有識者なりの専門家なりの御指導を得ながら、また協議をしながら、対策に万全を期してまいりたいと考えております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 部長から何かわからぬような答弁をもらったんですが、やはり地元民としては大変心配をしている問題であります。県は、よそごとのことじゃなくて、やはりこの住民サイドに立ってもらってですね、やっぱりこの県民の生命と健康を守る立場から、この調査結果ですね、これは水質汚濁防止法という法律がありまして、これは公開が原則になっておりますんでね、その法にのっとって、ひとつ汚染源の特定、こういったものについてひとつ公表をすべきであると、こういうふうに私は思います。 次に進みます。 骨髄移植対策について質問をいたします。 最近最も話題になったものは、ソ連のチェルノブイリ原子力発電所が爆発事故を起こしたとき、大量の放射線被曝を受けた人を救うため、多くの人に骨髄移植が行われたところであります。医学界では、致死量の放射線照射を受けた動物に骨髄を移植すると、その動物は放射線の死から免れることが古くから知られております。これを治療に応用しようとするのが骨髄移植療法と考えられます。 骨髄移植が治療法として本格的に行われるようになったのは一九七〇年以降のことで、シアトルのトーマス博士によって治療術式が確立されたのであります。現在では骨髄移植は、白血病、再生不良性貧血、重症複合免疫不全症に対する有力な治療法として確立されております。その治療成績は最近飛躍的に向上しているのであります。欧米では、既に一万例以上に骨髄移植が実施され、我が国でも一九八七年までに六百例に達し、長期生存例が確実に増加しつつあります。 骨髄移植とは、物の本によりますと、循環している血液中には、白血球、これはリンパ球を含むわけですが、そして赤血球、血小板という三種類の血液細胞が含まれています。白血球は感染防御、リンパ球は免疫機能を担当し、赤血球は酸素を運搬し、血小板は出血をとめる中心的役割を果たし、いずれも生命維持になくてはならない重要な働きを持っております。これらの血液細胞の母細胞、母の細胞ですね、母細胞と考えられる造血幹細胞は骨髄で生産されており、この造血幹細胞が、それぞれ分化、成熟して、白血球、赤血球、血小板になります。したがって、病気のために骨髄が造血機能を失ったり欠陥を来した場合に、これを正常な骨髄と置きかえて造血機能の正常化を図ろうとするのが骨髄移植という治療法であります。例えば、白血病では造血幹細胞ががん化しているため、また再生不良性貧血では造血幹細胞自身に欠陥があるため、正常な造血が行われなくなるので、正常な骨髄の移植が有効な治療法となります。ちょうど血液中の老廃物を浄化、排せつする腎臓の機能が障害された場合、腎不全に、これを正常な腎臓に置きかえる腎移植と同じ考え方であります。 今申し上げましたように、骨髄移植は、白血病や重症の再生不良性貧血の完治に最も効果的とされる方法でありますが、移植ができるには、骨髄提供者、これをドナーと言いますが、このドナーの白血球の型、HLAと言いますが、これが患者のそれと一致しなければならない。しかも一致する確立は、血縁者間で四人に一人、非血縁者では数千人に一人と低いために、欧米諸国では十二、三年前から提供者を多く確保するための公的骨髄バンクが設立されており、移植の推進、患者の救済に効果を発揮しています。我が国の場合は、一昨年ようやく研究班が設置され、現在専門委員会でバンク設立へ向け検討を行っている段階です。 このように、国の対応がおくれているため、骨髄移植を必要とする患者が全国で二千五百人いるにもかかわらず、国内で移植手術を受けられるのは年間約三百人にすぎないのであります。現在県下で骨髄移植が必要とされる患者は二十人から三十人と見られています。そのうち十人ぐらいの子供さんが移植を希望していると聞きます。これは新潟県でございましたか、こういう事件がありました。このHLAというこの血液を、いわゆる提供する人が見つからなくて、お母さんと息子さんが心中をしたと、こういう痛ましい事件がありまして、まあこういった事件が、全国に待っておられる患者さんがいっぱいおられるわけでございます。 現在、民間の骨髄バンクが活動されていますが、ドナーが見つからない状況で困っております。現在までの登録申込者は全国で七千五百人、HLA検査済み者は三千八百人、九州と山口県を入れて八百三十七人、そのうち熊本県が百十四人で、HLA検査済み者は四十四人となっています。骨髄バンクがあれば、HLA型の一致した提供者が見つかる可能性はどのくらいあるかといいますと、日本では、一万人のバンクがあれば患者さんの五〇%に、五万人のバンクでは約八〇%の患者さんにHLAの適合した方が見つかると計算されています。日本人は、民族のばらつきが少なく、遺伝的にも似通っているため、欧米諸国に比べるとHLA型の一致したドナーの見つかる確立は高いと言われております。ですから、全国的な公的骨髄バンクが必要になってくるわけであります。 そこで、緊急的な措置として提案したいのは、国が公的骨髄バンクを設立するまでの間、県独自で臨時のバンクを開設し、患者救済に取り組んでいただきたいと思います。あわせて、今後の検査体制の強化と移植手術ができる病院の整備についてどのように考えておられるのか、どのようにまた進めていかれようとするのか、お尋ねをしたいと思います。  〔衛生部長星子亘君登壇〕 ◎衛生部長(星子亘君) 骨髄移植術、これはお話しのように白血病、再生不良性貧血など、非常に治りにくい血液疾患で苦しんでおられる方々に対する有効な治療法として、ここ十年来、移植件数もだんだんふえてまいりまして、昭和六十三年には全国で約二百五十例実施されております。治療成績も徐々に改善されておるということでございます。しかし、骨髄移植には、お話しのように、骨髄を提供する方と患者の方、この方の白血球の型を適合しているものを使うという大きな問題がございまして、国におきまして、骨髄提供者の登録と血液適合検査、これを行います全国的な骨髄データバンクを、本年の末までに発足させることで取り組みを行っております。 骨髄移植には、骨髄を採取した場合に、その後三、四日間は入院を必要とするし、それから、採取の後やはり少し痛みがあるとか、全身麻酔を行いますので、万一事故が発生したときは補償を考えなきゃならない、まあそういったこと、それから提供者の方への肉体的な、精神的な苦痛、この負担、これをどうするかというようないろんな問題がございまして、このようなことを処理していく組織として、民法上の公益法人の設立が検討されているところでございます。 それから、骨髄移植の適合検査体制につきましては、国といたしましても、全国の日本赤十字社血液センターの協力を得るということにしておりまして、熊本県支部の血液センターでも既に腎臓移植のための血液型の型の適合検査体制がシステム化されましたので、技術的には問題はないと聞いております。国の対応を見ながら熊本県といたしましても検討することとしたいと思います。 それから、移植医療機関の整備につきましては、その移植スタッフの問題はもとより、設備、例えば無菌室の設置等という問題がございます。県内の高次医療機能を持つ医療機関で移植の実施が可能となりますように、関係機関と今後いろいろと相談してまいりたいと考えております。  〔広瀬博美君登壇〕
    ◆(広瀬博美君) 今衛生部長から答弁をいただいたわけですが、やはり血液センターを中心としたいわゆる検査体制の強化、それから無菌室がやはりどうしても不足をいたしております。そういった問題、やはりこういった骨髄バンクの問題にしても、やはり官が指導的な立場でやっていかないとなかなかうまくいかないということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、熱帯雨林の問題についてお尋ねをします。 マレーシアのサラワク州、これはボルネオ島ですが、このサラワク州から森林伐採で被害を被っている女性の先住民の人たちが来日し、全国の自治体を回って熱帯林の保護を訴えて反響を呼んでおります。六月八日には、先住民の女性二人が来熊して、市民との交流会が産文会館で行われました。訪れたのは、サラワク先住民のナンシー・ジャロンさんとムジャン・ワンさんの二人で、二人を含む女性四人が市民グループの招きで先月末に来日し、政府、自治体、業界に伐採中止を直訴したほか、熊本市など全国十四都市で交流会に臨み、現地の森林破壊の実情をスライドなどで紹介しながら、市民への理解と支援を呼びかけているのであります。 サラワク州は、ボルネオ島北部の森林地帯で、日本の約三分の一の広さに百五十万人が住み、このうち、プナン人、カヤン人などの先住民は、熊本市の人口とほぼ同数の六十万人、一九六三年にマレーシアに統合されて以来、商業目的の伐採で森林の約三〇%が失われたといいます。 集会で、ナンシーさんは、先祖代々受け継がれてきた焼き畑農業の方法を紹介してくれました。それによりますと、収穫後七年は土地を寝かせ、ほかの土地で収穫して、それを順に繰り返す。何千年も前から機械を使わず、このやり方で自然の調和は損なわれなかったと、一部に言われるような焼き畑農業による自然破壊はなかったことを強調しておりました。ところが、商業目的の伐採が始まると、大きなブルドーザー、トラックが土を踏み固め、あっと言う間に農業ができなくなったということです。森は破壊され、川も汚れ、豊富だったイノシシ、野豚、魚も果物もとれなくなり、森の恵みに依存してきた先住民は貧困に苦しむようになった、しかも、さまざまな病気がはやり、これまでもかかったことのない奇病にかかる人もふえたと、ナンシーさんは環境汚染の深刻さを報告しました。 私も話を聞いて大変ショックを受けました。ジャングルというものは、ありとあらゆる雑木で形成されているのであって、一たん伐採したらもう再生ができないといいます。熱帯林は、住民の生活手段そのものであり、それを奪われると生きていく手段がなくなるという切実な訴えに、伐採した木材の大量消費国である日本人としまして、大変恥ずかしい思いをしました。 我が国は、熱帯林丸太の五〇%を輸入しています。世界一の輸入国であります。そのうち九割が、マレーシア・ボルネオ島北部のサラワク、サバの二つの州から輸入されています。かつて我が国は、フィリピンやインドネシアなどで大変な乱伐を行ってきたわけであります。 このような我が国の熱帯林破壊に対して、途上国からの批判も強く、八六年には、マレーシアで開かれた第三回世界森林資源危機会議でも、日本は熱帯林破壊の元凶として指弾されました。今回来熊した先住民の人たちが訴えているのは、熱帯木材の輸入規制ばかりではない、一回か二回使えば捨てられるコンクリート形成用合板、これをコンパネといいますが、このコンパネを初め熱帯木材の浪費を改めるなど、過剰消費を防ぐ政策の推進を主張しております。ちなみに、欧米諸国では、自治体が熱帯木材の不使用を決めるなど、脱熱帯材の動きが強まっていることを私たちも知るべきであります。 県においても、県営住宅の建設を初め公共工事が多いわけですが、サラワクの先住民を脅かす熱帯林の破壊を防止するために、次のことを提案したいと思います。一つは、県が発注する建築資材のサラワク材の使用停止、二つ目は、熱帯木材を使わない住宅づくりの推進、三番目は、大量の木材を消費するコンクリートの型枠を使う建築工法の見直しをしてもらいたい。これが私の提案でございます。 以上、答弁を求めます。  〔土木部長杉浦健次君登壇〕 ◎土木部長(杉浦健次君) 近年、地球規模での環境問題に対する関心が非常に高まっておりまして、県といたしましても、緑だとか水など、かけがえのない資源を大切にすることは大変重要なことであるというふうに認識をしております。 そこで、お話のありました、まず県の建築工事につきまして、現在南洋材がどの程度使われているのか、まず実態を調査してみたいと思います。そこで、その上に、施工の方法とか、かわるべき材料あるいは要する費用等について、官民一体となって、さまざまな角度から研究し、少しでも削減するような方策を研究してまいりたいと考えております。 建設省においても、現在省内でこれらのことに関しまして勉強会を発足させたと聞いておりまして、この会とも連絡をとりながら、指導も受けてまいりたいというふうに考えております。 一方、木造住宅における県産材の使用ということにつきましては、従前から県の個人住宅建設融資制度などで優遇をして推進をしてきたところでございます。今後この制度の普及をさらに一層図ってまいりたいというように考えております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 今部長から答弁をいただきました。この県庁におきましても、これはたしか平成二年の五月だったかと思いますが、森林保護の立場から、県庁の食堂におきまして、割ばしから竹のはしにかえたということをやっておられますし、今申し上げましたようなコンパネだけが放置しておくのはおかしいし、ぜひこういった問題についてもひとつ積極的な取り組みをやってもらいたいというふうに思います。 次に、農業問題について質問をします。 牛肉・オレンジの輸入自由化対策についてお尋ねをいたします。 ことし四月、牛肉・オレンジの輸入自由化がスタートしました。日米交渉で自由化が決定して三年、その間、これを迎え撃つ農家は、自由化に憂えるばかりではなく、積極的に付加価値の高い高品質の牛肉やミカンづくりに取り組むなど、農家を取り巻く逆風をはねのける努力が続けられております。熊本県においても、牛の受精卵移植技術、ミカンの金峯、デコポンなどの新技術・新品種を導入するなど、成果を上げているところであります。 そこで、まずお尋ねしたいのは、牛肉の輸入自由化対策についてであります。輸入牛肉には七〇%の関税がつき、今のところ市場に大きな変動はありません。しかし関税率は、来年が六〇%、再来年が五〇%と引き上げられてきます。問題なのは、草だけで生産される輸入牛肉にコスト面ではとても対抗できないということであります。関税が下がる来年からがいよいよ勝負となりますが、県は、常々高品質、低コストで勝負すると言っておりますが、牛肉の品質をあらわす等級を調べて見ますと、最高級の五等級が平成元年度で二八%、次の四等級で三四%、三等級で二五%となっております。ちなみに、佐賀県では、最高級の五等級が全体の六〇%を占め、四等以上になると実に九〇%を占めております。熊本県は他県と比べても品質面で大変おくれをとっているのが現状であります。これでは激しくなる産地間競争にも勝てないと思いますが、このようなことで本当に本県畜産農家は生き残れるのか心配であります。そこで、高品質対策を今後どのように進められようとするのか、お尋ねをします。 第二点目は、低コスト生産についてであります。競争に打ちかつには、少しでも安く生産することですが、和牛の肥育素牛は、血統のよいものになると一頭五十万円、六十万円の値がつきます。素牛が五十万円とした場合、約十四カ月の肥育期間のえさ代や諸経費で二十数万円、八十万円で牛が売れても利益はほとんど出ない計算になります。それだけに肥育農家は、安くて能力のすぐれた素牛の入手と肥育コストの引き下げに必死であります。輸入自由化の中で、高品質とともに、素牛生産から肥育までに至る思い切った低コスト化がどうしても必要と考えます。そこで、今後の肉用牛生産の低コスト対策についてお尋ねをします。 次に、オレンジ果汁の輸入自由化対策についてであります。オレンジの持つ香り、価格などから、熊本県は深刻な影響を受けることが心配されています。そしてこの波をかぶるのは、高齢者や資金不足などを理由に施設や新品種の導入ができない農家と見られております。例えば、品質の向上が図れないため、加工に回るミカンの割合が高くなるからであります。かつてミカンの産地として栄えた熊本県も、輸入自由化がささやかれ始めた昭和六十年から平成元年までの四年間で、県内一万七千二百二十二戸のミカン農家のうち四千四百七十戸が栽培をやめております。来年、オレンジ果汁の自由化で、県内のミカン農家は正念場を迎えるわけですが、オレンジ果汁に対して県としてどういう対策を考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。  〔農政部長木村幸次郎君登壇〕 ◎農政部長(木村幸次郎君) 肉用牛について、品質向上対策と低コスト生産の二点についてお尋ねでございました。 まず、肉用牛の品質向上対策についてでございますが、これまでも、第十光丸のように、その子牛の七〇%以上が輸入牛肉の品質を大きく上回る肉質等級四以上の、いわゆる極上肉に格付される肉質を持った種雄牛をつくり出してきているところでございます。で、このようなことから、本県の肉用牛の肉質は、肉質等級三以上の良質肉の割合が、六十三年度の六二%から平成二年度は七〇%と年々向上してきているところでございます。さらに、第十光丸を超えるようなすぐれた種雄牛を短期間につくりますために、農業研究センターにおきまして受精卵移植技術を利用した優良種雄牛の生産に努めているところでございます。また、本年度から、農業研究センターが新たに開発しました肉質の大幅な向上のための飼育技術を普及をいたしますとともに、西原公共育成牧場に設置をしました受精卵供給センターで、能力のすぐれた雌牛から採取をしました受精卵を農家に供給しまして肉質の向上を図っていく、そのための県独自の予算を計上しているところでございます。 次に、低コスト生産についてでございますが、子牛の生産費は、経営の規模拡大あるいは分娩間隔の短縮等によりまして、昭和六十年に比べますと、平成元年には二〇%低下をしてきております。今後さらにコストの低下を図りますために、新しい技術を導入した双子生産の推進でございますとか、飼料畑の整備による飼料自給率の向上、あるいは水稲収穫跡地への放牧利用の促進、さらには間伐材、廃材を利用した低コスト畜舎の建設などを推進をいたしますとともに、放牧地で肉用牛を周年飼育する技術の普及に努めてまいりたいと考えております。また、本年度から新たに出荷されました肥育牛の枝肉格付成績や体重の増加状況などを分析しまして、農家に対し、交配種雄牛の選定情報を提供し、低コスト生産を推進するための単県の予算を計上いたしております。 今後とも地域の実情に沿った、生産から流通に至る諸施策を総合的に推進しまして、輸入自由化や産地間競争に打ちかつ肉用牛経営の体質強化に努めてまいりたいと存じております。 次に、オレンジ果汁の輸入自由化対策についてお尋ねでございましたが、オレンジ果汁に対抗しますためには、最近の本物志向を踏まえまして、消費者ニーズに合った天然の味と香りを生かした品質の高い果汁を生産することが必要でございます。このため、県といたしましては、昭和六十三年度、全国に先駆け、県果実連が自由化対策として行いました搾りたての生の風味を持ったストレート果汁の製造施設整備について助成をしてきたところでございます。また、高品質の果汁を生産するためには、良質の原料を確保することが必要でございますが、六十三年度から平成二年度までの三カ年間実施をしましたかんきつ園地再編対策により、高品質の原料ミカンが確保される体制が整ったと考えております。 さらに、全国的に生産が減少しております今日、ミカン経営の安定を図りますとともに、原料ミカンを安定的に供給するため、原料価格の補てんを行う加工原料用果実価格安定制度の拡充強化を国に対して要望してまいりたいと考えております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 最後に、バイク禁止の校則見直しについて質問をしたいと思いますが、時間がありませんが、要点だけ申し上げて答弁をもらいたいと思います。 学校での校則による指導のあり方を見直す動きが強まる中、バイク禁止の校則は近年各地で見直しが進められております。折しも、バイク免許取得を禁じた高校の校則をめぐる訴訟で、五月二十七日、東京地裁が、退学処分など校則の具体的運用について慎重な配慮を求める判断を下しました。今回の地裁判決は、見直しを加速させる判決でもあります。 熊本県下においても、五十八校中、免許を取らせない、車に乗せないという校則が五校か六校存在をしております。私は、交通のこの何といいますか、安全教育を徹底して、こういった校則は見直すべきであるというふうに思いますので、答弁をお願いしたいと思います。 ○議長(平川和人君) 教育長佐藤幸一君。──残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔に願います。  〔教育長佐藤幸一君登壇〕 ◎教育長(佐藤幸一君) 高校生のバイク利用につきまして見直せということでございますが、本県におきましては、それぞれの学校が、交通が不便な者、それから遠距離の者、あるいは駅までの利用というような条件のもとに、実情に応じて免許の取得や通学への許可を許可するということを原則としております。したがいまして、今後ともそれぞれの学校の実情に沿ったバイク使用が行われるように指導してまいりたいと思っております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 用意しました一般質問は、これで全部終了いたしました。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(平川和人君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。  午前十一時三十六分休憩      ───────○───────  午後一時六分開議 ○副議長(八浪知行君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 中島絹子君。  〔中島絹子君登壇〕(拍手) ◆(中島絹子君) 日本共産党の中島絹子でございます。福島知事に初めての一般質問でございますが、簡潔で明快なお答えをいただきたいと存じます。 まず、知事の民主主義に対する認識についてお伺いをいたします。 今、自民党・海部内閣は、政治改革を口実に衆議院に小選挙区制を導入しようとしています。本日、第八次選挙制度審議会の区割り案が諮問されます。この小選挙区制は、第一に、自民党が四割台の得票で八割近くの議席を占めるものであります。我が党の試算によれば、小選挙区制の三百議席のうち、二百九十一議席、九七%を自民党が獲得いたします。これに比例代表分を加えると、自民党が四七%の得票で七六%に当たる三百五十九議席を獲得いたします。また県の場合、小選挙区制になったら五選挙区になると言われております。西日本新聞六月十九日付は「五選挙区とも全野党が力を結集しても自民党には歯が立たない。」と指摘しています。第二に、小選挙区制では、第一党以外のすべての票が死票として切り捨てられ、国民の声が議会に反映されないことです。二人に一人の票が死票となり、九〇年総選挙に当てはめれば、実に三千三百万を超える票が切り捨てられます。 知事は、小選挙区制の導入について、どういう認識を持っておられますか。県民の声が国政に届かない小選挙区制は、知事が信条とする公平、公正さに反するものではありませんか。明快な御答弁を求めます。 次に、知事が強調している弱い者の立場に立った県政に関連して質問をいたします。 知事は、弱い者の立場に立った県政をみずからの政治姿勢として強調されております。私は、まず自民党・政府がこの十年間進めてまいりました臨調行革、そのもとで地方行革こそ弱い者いじめの政治であるということを指摘したいと思います。 御存じのとおり、政府は、中曽根内閣時代、臨調行革による地方自治体への補助金カットを行いました。最初一年だけと言っていたのに、やめないで続けています。熊本県の補助金カット影響額は、昨年度までの六年間で一千五十四億円にも上り、今年度も百三十一億円となります。こうした補助金カットは、国保税の値上げ、生活保護などの福祉切り捨て、公共料金の引き上げとなって、県民の暮らし、福祉に深刻な打撃を与えました。特に弱者である生活保護世帯への補助打ち切りはすさまじく、八四年に一万七千世帯を超していた被保護世帯が、九〇年には一万六百世帯となり六千四百世帯以上減少しています。県の予算額では、五年間で七十億円以上も減額となっています。 また、熊本県は、他県に先駆けて地方行革を実施しました。保健所支所や婦人寮など県有施設の廃止、わずか年間四千八百円の敬老年金さえ廃止されております。他方では、二年ごとに県有施設の使用料と手数料の見直しと値上げが行われ、熊本女子大授業料は、十年間で二倍以上に引き上げられています。 こうして福祉を犠牲にし、住民負担がふえていった結果、熊本県では、八八年度には三百六十五億円だった各種積立金が、九〇年度末には八百七十二億円となり、二年間で二・四倍と異常に膨れ上がっております。もちろん私も一定の積立基金の必要性は認めていますが、これだけ膨大な積立金をため込む必要はないと思います。知事は、こうした積立基金の一部を障害者、老人など弱い方々のために思い切って使うおつもりはありませんか。明快な御答弁を求めたいと思います。 次に、消費税についてお尋ねします。 熊本県は、消費税が実施された初年度の八九年度四月から、県立劇場など文化施設や各種スポーツ施設など、県有二十一施設の入場料、使用料などに三%の上乗せを行っております。消費税が導入をされた八九年度に転嫁した額は一年間だけで一億一千万に上ります。しかも、このうち六千三百万、一般会計分は国に納入しなくてもよいもの、つまり転嫁しなくてもよい公共料金、例えば文化・スポーツ施設などにまで上乗せをし、消費税を県民から徴収しているのです。消費税の公共料金への上乗せを廃止すべきではありませんか。御答弁を求めます。 愛媛県では、ことしの四月から公共料金への消費税の上乗せをすべて廃止をしております。ほかの自治体でできたことができないはずはないと思うのです。 以上、三点について知事の明確な御答弁を求めます。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 最初に、小選挙区制度、選挙制度改正についての御質問でございました。 まあ知事としての立場でお答えすべき事柄でもないかと思いますが、しかし、本件、私にとっては、昨年その基礎をつくってきた一人でもございますので、あえて多少お答え申し上げたいと思います。 今の中選挙区制度といいますのは、正確には大選挙区制度、学問上は大選挙区制度でありますが、世界に例を見ない制度であります。本来、そして共産党さんにとっては、各選挙区に立候補されておられても一人しか立候補されておりませんから、実態的には、その中において小選挙区としての選挙しかなさっておらないという実態であります。政権党を志す以上は、過半数を制するというのがこれ当然必要なんでありまして、中選挙区下においてその政権党を目指せば、各中選挙区の中において過半数を上回る数を少なくとも立候補させていかないと過半数を制することができない、そこに今までの自民党の悩みが私はあったと思っております。 そこで何が起きるかということになりますと、当然、例えば熊本県一区においては、五人の定数の中で、自民党が四人も五人も立候補するということでありますから、同士打ちが発生をいたします。政党本位の選挙にはならないということでありまして、あるいはまた政策本位の戦いにならない。往々にして起きますことが、利益誘導的な形になりがちであるというところに根本的に問題があると思っております。 同時に、民主主義下における代表制度というのは、やはり過半数をとるということが一つのキーポイントでありまして、今の中選挙区の中における、例えば五人区でありますと、一五%も得票いたしますと当選ができるという、これ大変不思議な代表の制度になっておるわけであります。小選挙区にいたしますと、実態的には、政権党でない政党も、やはり各選挙区に立候補せざるを得ないような状態になってまいりまして、同時に、大きな政治的な意味合いというのは、政権交代の可能性がそこに生まれてくるということだと思っております。政権交代が絶対に出てこないような選挙制度というのは、本質的に民主主義の原則に合っているかどうかという点に大きな問題があるわけでありまして、今試算が御提示がありましたが、まあそういうこともありましょうが、しかし、数年前の参議院選挙のような状態が、もし小選挙区下における総選挙として行われた場合には恐らく政権交代になっておっただろう。やはり政権党でない各党にももっと政権を担当したときに現実に政権担当ができるようにしっかりしてほしいというねらいが、私は小選挙区制度に秘められておるんだろう。同時に、中間政党がそれでは埋没してしまうという御意見が当然出てくるわけでありますが、そこは比例代表並立制でカバーしていこうということであります。 まあ一長一短確かにありますけれども、そしてそのことは、もうこの百年来学問的には議論をされておるところでありますが、やはりこれからの日本の、本当の意味での民主主義的な政治形態を打ち立てるためには、小選挙区比例代表を何らかの形で加味した小選挙区制度が私は望ましいんではないかと思っております。 それから、予算の運営において御質問がございました。基金の積み立てが非常に大きなものがある、もっともっと福祉に使えというような御趣旨であったと思っております。また、国の補助率カット、そういうことによって福祉が切り下げられてきたんではないかといったような意味の内容もあったかと思います。そしてその基金自身が、住民サービスの低下によって浮かした金で生み出したものではないかというようなことであったかと思っております。 基金はいろんなものがありますが、一つは年度間の財政状況の変動に対処するもの、また、将来ふえていくことが予想される経費の負担を緩和するために準備しておこうとするもの、あるいは長期にわたって継続的に行うべき事業の原資を確保する、まあ運用益によってこれを行っていく、こういったさまざまな目的のために積み立てられ、それぞれの用途に応じて、あるいは元本を取り崩し、あるいはその運用益を利用して事業に活用していこうというものであります。 最近、県の基金が相当ふえてきておるのはこれ事実でありますが、しかしこれは、例えば最も大きなそのウエートを占めておりますのは県債管理基金、これはもう圧倒的な比重を占めておるわけであります。県は一方において多額の多くの県債残高を抱えております。これを一挙に繰り上げ償還するのも一つの手でありますが、今のような金利情勢の中では、このような県債管理基金において積み立てて、そして運用をしながら定時の償還の時期に県債を償還をしていくということが、より県の財政にとって有利であるという判断の中で、県債の管理基金というものを現在充実をさしておるさなかでありますので、一見非常に大きなものが積み立てられておるようでありますが、これは債務との関連で積み立てられておるわけでございまして、純粋の純資産というべきものではございません。 また、住民サービスを低下させることによって積み立てられておるという御批判は当たらない。年度年度におきまして、特に平成三年度におきましては、福祉関係の予算というのは、これはもう十分に充実の方向で努力をさしていただいてまいっております。必要な福祉は福祉の予算として立派に対処してまいってもおりますし、これからもまたそういう気持ちで対処をしていきたいと思っております。 消費税について御質問でございました。極めて技術的な問題でありますので、詳細にお答えをいたしますと、簡潔という御要望に沿いかねていたしますので、基本だけ申し上げておきます。 使用料などへの消費税の負担転嫁につきましては、現在九州のすべての県を初めとして、全国的にも大多数の都道府県で公共料金への負担転嫁が行われておりまして、熊本県におきましても、法律の本来の趣旨に基づいて、転嫁をさせるということで予算上の措置もいたしております。 これを、仮にそのような形にいたしませんと、消費税は本来最終的に消費者が負担すべき性格のものでありますが、これを消費者に転嫁をしないという状態で県財政を動かしてまいりますと、本来消費税転嫁分で負担すべき消費税見合いのコストアップ分を、結局は他の歳入、例えば県民税などの一般の歳入で負担をしなければならないということになってしまいます。本来消費者が負担すべき部分を一般の県民の皆様方に押しなべて負担をしていただくという、そういうことに簡単に言うとなってしまうわけでありまして、転嫁は、したがって私は当然のことであろうと思っております。 以上、お答えを申し上げます。  〔中島絹子君登壇〕 ◆(中島絹子君) 時間がありますので、多く申し上げられませんけれども、第一党と自民党が四割ぐらいの得票で七割、八割と、こういうようなのはやはり民主的な選挙制度ではないと思いますので、改めて知事が小選挙区制反対の立場をとられるように強く求めたいと思います。 弱い者の立場に立った県政をです、積立金、そのために積立金を活用すると。ふだん積立金といいますのは、財政規模の五%で十分だと、特別な事情がない限りと、そういうふうに言われておりますので、ぜひこの膨大に短期間で膨れ上がった、しかも福祉を削ってため込まれたこの積立金を、福祉や教育に思い切って使っていただくようにお願いをしたいと思います。 次に、高齢者の問題について質問をいたします。 この十年間、政府・臨調行革のもとで、お年寄りは集中的に攻撃をされてきました。 まず、お尋ねいたしますのは、老人保健法改正についてでございます。 御存じのとおり、老人医療制度は、老人保健法施行で七十歳以上の医療費無料化制度が廃止されました。最初はほんの少しだけお年寄りに負担をしてもらうといって強行され、八七年には負担が引き上げられ、さらに今、外来や、そして入院費は二倍にも引き上げ、今後は老人負担引き上げを国会に諮らなくてもできるよう、老人保健法の大改悪がやられようとしています。もしそうなれば、一番弱い立場のお年寄りと家族に大きな負担がかかる老人いじめの政策となります。お年寄りの立場に立って、老人保健法改正に反対をし、厚生省にも物を言っていただきたいのです。その点についてお伺いをします。 次に、福祉生活部長にお尋ねをいたします。老人白内障眼内レンズへ県の補助制度について伺います。今、お年寄りの七割が白内障に悩まされています。手術の眼内レンズは三十万近い費用がかかり、断念する人もたくさんおられます。既に補助制度を発足させている自治体もあります。県は、保険適用を政府に働きかけると同時に、それまで県の補助制度について実行されるお気持ちを持っておられるのかどうか、お尋ねをいたします。 制度の二つ目には、老人入院見舞い金制度についての質問でございます。高齢者を取り巻く環境は厳しく、ぐあいが悪くなると一挙に生活破綻に見舞われることになります。保険適用を受けない費用などもかさみ、医療負担は重くなっております。多くの方から要望されている老人入院見舞い金制度についてお尋ねいたします。 制度の三番目に、介護手当。寝たきりのお年寄り、痴呆性老人などを抱えた家族の自殺や、だれにもみとられずに亡くなったお年寄りが数日後に発見されるなど、悲惨な事件が後を絶たず、家庭介護の問題は深刻な社会問題になっております。寝たきりや痴呆になったとき介護する家族の苦労を経済的に支える介護手当の支給について、二十一都道府県で既に制度化されています。京都では年六万円、熊本県内でも山鹿市では年十万円がスタートしています。本県での介護手当制度について伺います。 以上三点を、お年寄りと介護家族への温かい配慮、三点セットとして実現させていただくことを求めたいと思います。 次に、老人福祉施設の整備についてお尋ねいたします。 中でも特別養護老人ホームの大幅増設は急務であります。こんなことがあります。Aさんは、戦争に行って半身不随で戦場から帰ってこられた人ですが、奥さんが亡くなり、老人病院に入院をされました。ところが、国保関係の指導で、医療費が高くなるので退院しなさい、特養ホームがよいと行政から言われて入所を待っていたけれど、二年たってもまだ入れないのです。熊本市では百人近い待機者があります。他の市町でも同じような状況が多く見られます。特別養護老人ホームの大幅増設は緊急な課題だと思います。また、身近な所に特養ホームが欲しいというのが県民の願いです。年をとって、住みなれた所を離れ、家族や友人、知人とも会うことができない生活は寂しい限りです。住んでいる近くに老人ホームをというのは、お年寄りだけでなく家族の願いであります。 熊本県の特養ホームは四十八カ所ですが、公立五カ所、この中には一部事務組合三があります。そして民間四十三カ所、県立は一カ所もありません。圧倒的に社会福祉法人にゆだねられています。民間にのみ依存するという姿勢では、必要な所にホームの数を満たすことはできません。県の責任で特養ホームを建設し、待機者を解消すべきだと思います。 次に、家庭奉仕員派遣事業、いわゆるホームヘルパー派遣についてお伺いします。 政府の十か年戦略では、九九年度にホームヘルパーを十万人に増員する。本県では、それに基づき千九百人にするとしていますが、仮にそれを達成したとしてもスウェーデンなどの十分の一というのですから、日本のおくれを痛感させられます。ホームヘルパー事業は在宅福祉の柱であります。その充実も県民の強い要求であります。 県は、平成二年度にヘルパーを五百六十五人にふやす予定でしたけれど、四百八十六人にとどまりました。その原因の一つに、ヘルパーの報酬で市町の超過負担があります。熊本市でも七千二百万を超えて超過負担しております。ヘルパー増員を市町村に任せては、ことしの計画達成にも困難があります。また、ヘルパーを受けるのも有料化され、一時間当たり二百円から六百円かかります。四時間で最高二千六百円の負担となります。そのために低所得者利用ができなくなっております。私は、ホームヘルパー利用者の負担を軽減すべきだと思います。 以上、高齢者対策について六点、簡潔明瞭なお答えをいただきたいと思います。 次に、続けて、私学教育条件の改善についてお尋ねします。 県の「私学白書」でも、熊本県内の全高校生の三一・四%が私立学校に在籍し、この比率は平成二年まで年ごとに高くなっています。また、割合は全国的に見ても第七位にランクされています。熊飽地区の私立高校は、県内の全日制高校数の五六%で、約半数が私立高校に通っています。しかし、私立の状況は、教育条件の面でも父母負担という点でも大変深刻な状況にあります。 私立高校の一九九一年初年度納付金は、最高で六十四万七千二百四十円、平均でも四十万八千二百八十四円で、県立普通高校との格差は二・四倍となり、父母の負担は年々ふえて耐えがたいものになっております。私立高校に入学して、子供が親に気兼ねして、かわいそうでやりきれないというお母さんのはがきもいただきました。私立に入学させてパートに出るようになった、お父さんの残業が多くなったのを見て心を痛めているのです。本来、家の経済的なことで悩むことなく、思い切って勉強したい、スポーツもしたい、友だちと語り合いたい、そんな人生の時期でありますのに、子供たちの心に暗い影を落としているのが現実であります。また私学高校では、一クラスの生徒数五十人以上はざらで、六十四人のクラスのところもあって、教室に入り切れないほど劣悪な教育の状況となっています。にもかかわらず、本県の私学助成は、一九九〇年度経常経費生徒一人当たりで全国三十九位という全国最低県の一つです。 今高校は生徒減少期に入り、私立高校の生き残り競争も行われています。言うまでもないことでありますが、私立高校は公教育に大きな役割を果たしており、むしろこういうときこそ授業料値上げをやめ、教育条件の改善を行い、教育基本法の教育の機会均等、この実現を図るべきだと存じます。そのためには、私立高校の公費助成、この制度の充実が必要です。こうした私立高校生の実態について、県はどう認識をしておられるのでしょうか。 また、授業料軽減補助について二十三万人の県民の署名も集められております。父母負担を軽減し、公立高校との格差を是正、解消する要望を受けとめられ、私立高校への大幅公費助成について、県当局の決断をお聞きしたいと思います。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 老人保健法は改悪ではないかという御趣旨であったと思っております。 今後高齢者の方々が増加をしていく中で、若い方や現役で働かれる方々が年々減少していくという高齢化社会を、世代間の負担をどうバランスをとりながら、必要な医療や介護に係るサービスを充実をしていくかということは大変重要な問題だと思います。 つい先般、二〇一〇年委員会というものの報告が出されました。社会保障負担費は、現在の一一%からだんだんだんだんふえていって一八・五%程度まで勢い増高せざるを得ないという長期的な見通しを立てております。そういうさなかでありますので、負担は少ないにこしたことはもちろんありませんけれども、入院患者さんが一日四百円、これを八百円程度に引き上げるということは、まあ一日普通に家庭に生活をしておりましても相当にかかる時代であります。一日八百円という御負担、決してそう無理なことでもないのかなと思っております。 やはり、高福祉・低負担、これの破綻したのは、美濃部都政が最も典型的にあらわれた事態だと思っております。そういうようなことになってはならないというつもりで、やはり国も取り扱って取り組んでおられることだろうと思っております。  〔福祉生活部長東瀬偉一君登壇〕 ◎福祉生活部長(東瀬偉一君) お答えいたします。 まず最初に、白内障眼内レンズの保険適用の件でございますが、白内障の患者の方にとって眼内レンズの装着は、極めて良好な視力を回復できることから、近年一般化してきております。この眼内レンズと同様の効果を有するものといたしまして、眼鏡やコンタクトレンズの装着があることなどから、現在のところ保険給付の対象とはなっていないわけでございます。 従来から、新しい医療技術等の保険給付上の取り扱いにつきましては、中央社会保険医療協議会において議論をしていただくわけでございますが、現在国においていろいろ議論がなされておると聞いておりまして、国における判断を見守っていきたいというふうに思っております。 それから、入院見舞い金制度でございますが、これは、老人医療費の一部負担の問題や基準看護制度、それから付き添い看護についての医療費支給制度など、医療制度全般にかかわる問題でございまして、これらを総合的に考慮すべきものであるというふうに考えております。 それから、介護手当でございますが、平成元年十二月に厚生事務次官の懇談会、介護対策検討会が行った報告によりますと、介護手当は必ずしもサービスの供給と結びつくものではないため、要介護老人について、給付要件の設定の仕方によっては、かえって寝たきり状態の解消につながらない可能性があること、それから対象者の個別性に対応できないこと、それから三つ目には、所得制限等を設定いたしますと対象者が限定されること等の問題点が指摘されておりまして、慎重に検討すべきであるというふうに報告されているわけでございます。したがいまして、本県といたしましては、地域福祉を目的といたしますホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービス、この三本柱を中心といたしました在宅福祉の充実を図ることと、あわせて、ねたきりゼロ作戦を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。 それから、老人福祉施設の整備でございますが、昨年七月、高齢者のこれは悉皆によります実態調査の結果によりますと、在宅の高齢者のうち、介護を要するお年寄りは一万二百五十人、このうち、重度の方が三千八百五十三人でございます。さらに、そのうち三千三百九十二人の方が、主として家族の方が介護をなさっている状況にございます。これらの状況に対処いたすために、先ほど申しました三本柱を中心といたします在宅福祉制度の一層の充実を図りますとともに、特別養護老人ホームにつきましては、入所できる数と、それから入所希望される方の状況を見ながら、地域の在宅福祉の拠点整備といった観点から、計画的に整備をしていく必要があるというふうに考えております。このため、特別養護老人ホームにつきましては、本年三月策定いたしました「長寿社会対策基本指針」でも示しておりますとおり、毎年二百床程度を増床していくことといたしておりまして、平成二年度末現在で約三千九百床、これを十一年度までに五千八百床程度になるように整備を進めてまいりたいというふうに思っております。 それから、ホームヘルパーの利用者負担の問題でございますが、このことにつきましては、利用者世帯の所得税の課税区分に応じまして、一時間当たりの利用者負担額が定められております。生活保護法によります被保護世帯に対する無料から、生計中心者の前年度所得課税額が四万二千一円以上に対する六百五十円までの六階層に区分されております。ホームヘルパーの派遣は、以前は、派遣対象者が低所得の家庭に限定されていたところでございますが、現在は、所得の多寡を問わず、サービスを必要とするすべての家庭を対象とした普遍的な制度に変わっているところでもございまして、必要があれば、だれでも利用できるということになっております。したがいまして、利用いただく方には、それぞれの能力に応じた負担をいただくことは必要であるというふうに考えております。  〔総務部長青木豊君登壇〕 ◎総務部長(青木豊君) 本県の私立学校は、それぞれ独自の建学の精神と伝統を持ちまして、これまで本県教育の振興に重要な役割を果たしてまいりました。今後の本県教育の振興に当たりましては、公立高校はもとより私学の果たす役割には大きな期待を持っているところでございます。 近年、教育費に対します保護者負担が増加しまして、特に私立学校に子供を通わせている保護者の方の負担が大きいことは十分承知をしております。さればこそ、このような現状にかんがみまして、公教育の一翼を担っている私立学校に対する助成につきましては、国においても、厳しい情勢下ではございますが、特段の配慮を行いまして、私学助成制度の充実が図られてきております。 県におきましても、保護者負担の軽減等を図るべく、私学助成につきましては積極的に取り組んでおります。本年度予算では、私立学校に対します経常費補助を中心に、私学振興予算を前年度より四億二千万円、約七%の増額を行いました。総額六十五億二千五百万円を計上してございます。中でも、経済的理由によりまして就学が困難な高校生につきましては、県の助成によります授業料の減免措置を実施いたすなど、保護者の方々の教育費に対します経済的負担の軽減に特に意を用いております。 このような私学助成の充実によりまして、保護者負担の公私間格差は、お話にもございましたけれども、以前と比べて随分縮まってきておりまして、例えば県立高校と私立高校の平均授業料の格差は、昭和五十年度におきましては七倍強ございました。近年ではそれが二倍程度に縮まっております。 それから、本県の生徒一人当たりの補助額が非常に少ないという御指摘もございましたけれども、本県の私立高校の生徒一人当たりの入学金等を含めました平成二年度の年間納付金額を見てみますと、全国平均の約七割でございまして三十六万九千円、平成二年度でなっております。その額は全国水準から見て非常に少ないのが現状でございます。今後とも、私立学校が公教育に果たす重要性を十分認識いたしまして、私立学校の教育条件の維持向上のため、引き続き必要な私学助成に努めてまいりたいと思います。  〔中島絹子君登壇〕 ◆(中島絹子君) 知事は、入院費、お年寄りの一日八百円というのは無理ないというふうにおっしゃったんですけれども、お年寄りの本当に苦しい実態を御存じないというふうに、私はそれだけ申し上げておきたいと思います。 介護手当などですね、三つの制度を提案いたしましたけれども、どれもやるというような御答弁はいただかなかったと思います。寝たきりのお年寄り、痴呆のお年寄りの介護者はほとんど女性です。妻であり、嫁であり、娘たちの肩に今負わされているわけです。そういう介護者が持っている悩みは、身体的な疲労、時間の制約、精神的不安などございます。介護手当の制度をぜひつくっていただきますように、再度要求をいたしたいと思います。 それから、ホームヘルパーの有料の問題ですけれども、福祉を金で買わなければサービスを受けられないというようなことになりますと、金の切れ目が縁の切れ目にならざるを得ないというふうに思うんです。そういうことでですね、ぜひこのホームヘルパーは有料だからもう受けられないというような、人のそういう悩み、それを受けとめてこの料金の軽減措置を県単独でやっていただくということを再度要望をしておきたいと思います。今年度の予算の中でも、生活保護費は前年度比で十億円も、一四・七%も減っています。福祉の充実と言われますけれども、これでは弱者への配慮とは言えないのではないかと、そういうふうに思います。 私学の助成について、部長の、まあやっておりますという御答弁がありましたけれども、少なくとも全国水準に追いつくように、そこまで引き上げていただくように、二人私学に通わせているともう本当に大変なんです。そういう点もぜひそのお気持ちもくみ取っていただいて、私学の大幅助成、特に授業料助成に回りますように、よろしくお願いをしておきたいと思います。 次に、労働行政について質問をいたします。 知事は、公正、公平の行政、労働行政のモデル県を目指すと言っておられます。確かに今年度の予算を見ますと、対前年度比で労働費はかなり伸びています。しかし、これを五年前の労働費と比較してみますと、逆に七億三千六百万円、二〇%も予算が減っているんです。この間、地方行革の名のもとに労働費は毎年のように削られたわけですが、これを二、三年前の予算規模に戻しているというのが、ことしの実際の姿だと思います。 最も弱い立場にある障害者の雇用はどうでしょうか。県内民間企業の身体障害者雇用率は一・五八%のまま、この三年間全く改善されていません。従業員が千人以上の大企業では、逆に雇用率が悪化しています。知事が労働行政のモデル県を目指すと言われるのなら、こういう問題にもぜひ力を入れていただきたいと思います。また、労働者や中小企業の生の声に耳を傾け、その要求にこたえる真の意味での労働者の立場に立った施策の実施を望みます。 この点を要望いたしまして、具体的な問題で、地方労働委員会の労働者側委員の選任についてお伺いをいたします。 労働行政は、労働運動に対して公正、公平に対処しなければなりません。今熊本でも県労連と連合熊本という二つのローカルセンターに県下の労働戦線が再編されているのは御存じのとおりでありますから、一方に偏せず、それぞれから公平な選任が行われなければなりません。この点では各種審議会委員の労働者委員も同様であります。 ところが、地方労働委員会の労働者側委員は、五人全員が連合熊本の幹部によって占められています。地方労働委員の選任は、知事の任命によるものであります。系統別組合員数に応じて任命するとした労働省通達に基づいてなぜ選任できなかったのか、次回改善をされるのか、お伺いをいたします。 次に、看護婦確保対策について伺います。看護需給計画の見直しについて伺います。 昨年二月議会で、私は、平成元年に策定された県の第三次看護婦需給見通しは、看護婦さんの労働実態を反映したものでなく、看護婦不足は解消できないことを指摘し、県は見直しを約束されました。この間、マスコミでも報道されていますように、今日の看護現場の状況は、計画策定当初よりさらに深刻になっています。五月十五日には、看護婦さんたちが、県庁前で集会、座り込みを行い、知事あてに要望書を採択し、要請書を知事あてに届けられたと聞いています。知事は、この要請について、看護婦不足を解消する緊急課題について、どのような見解をお持ちなのか、初めにお伺いいたします。 次に、県の需給見直し作業が迫られています。国会でも取り上げられ、厚生大臣も見直しが必要であると答弁をされております。知事が押し出しておられる労働行政のモデル県として、看護婦さんが誇りを持って病院で働き続けられる見直しになるかどうか、衛生部長にお伺いをいたします。 具体的な内容として、看護婦さんの労働条件の改善が図られなければなりません。計画立案に当たって、複数勤務で夜勤は月八日以内とする制限の徹底、生休や年次休暇の完全取得、週休二日制や週四十時間など労働時間短縮、育児休業の保障、そして賃金水準の引き上げなど、人間らしい生活と誇りを持てる看護が保障されるものとなる必要があります。そのための必要数の確保を考えた計画になるのでしょうか、お伺いいたします。 厚生省発行の「厚生の指標」によれば、病床当たりの看護婦数は、日本の場合、准看護婦を入れても三十四人にすぎず、フランス六十九人、スウェーデン六十二人、アメリカ五十五人と比べ、日本は二分の一程度と少ないことは明らかです。熊本でも、医労連の試算によれば、二万人が不足していると言われています。看護婦さんの労働条件の抜本改善で、高齢者はもとより患者を大事にする行き届いた看護を可能にするための県の需給計画の具体的見直しについて質問いたします。 次に、看護婦養成についてお尋ねいたします。 看護婦不足を解消するには、養成数を大幅にふやさなければならないことは当然です。しかし、看護関係学生の卒業状況は逆に減っています。六十三年より平成元年は減少し、平成二年は元年より七十四人も減少しています。一カ所天草で開校予定でありますが、到底追いつくものではありません。 看護婦養成は、基本的には県の責任で行うべきであります。県立学校の新設など抜本的計画が必要です。また、指導者養成の四年制看護大学の設置も含め、人命を預かる医療の緊急性にふさわしく、養成事業の強化推進を要求をいたしまして、御答弁をいただきます。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 最初に、地方労働委員会の労働者側の委員の選任と申しますか、数についてでありますが、今地労委は全体で十五人、使用者委員と労働者委員と公益委員と五人ずつになっております。そして熊本県におきましては、今労働者側の五人は全部連合熊本の方々であります。これは、ナショナルセンターとしての連合の実力というものを考えていただければ、むしろ当然かなと思っております。今員数割にという御指摘もありましたが、そういう意味でも、五人現在労働委員として連合側が占めておられるのは、さしておかしな話では私はないんではないかと思っております。 看護婦さんの確保対策でありますが、熊本県における看護職員の需給見通しでは、平成五年には充足率が九九%、まあほぼ理想的な形になる計画ではあったわけでありますが、新たに福祉の分野における需要がどんどん大きくなってきております。また、労働条件の中でも、週休二日制とか、あるいは育児休業の制度とか、あるいはまた夜勤の回数の改善とか、そういったことによる需要増も見逃してはなりません。こういうような社会的な要因の変化に伴って、看護職員の需給の見直しもやらなければならないということで、昨年の十一月に、全国に先駆けて、看護職員の確保対策専門委員会を設置をいたしまして、今後の看護職員の必要数やその確保のための方策について目下検討中でございます。 しかし、これからの問題を考えていったときに、看護職員の果たすべき役割というものは大変大きなものがありますし、現在、本当にそれぞれ大変御苦労の中にお仕事をなさっておられる実態というのも私どもも十分に承知もいたしております。看護職員の方々が安心して働かれるような職場環境の改善等を含めた仕組みの、これからの改善を行政の中で検討をしてまいりたいと思っております。  〔衛生部長星子亘君登壇〕 ◎衛生部長(星子亘君) 看護職員の需給の見通しでございますが、ただいま知事の答弁にもございましたように、本県におきましては、昭和六十三年八月に「看護職員の需給見通し」というものを策定をしたところでございますけれども、需要が非常に増大しているということから、その確保の施策を的確に推進するというために、昨年十一月に看護職員確保対策専門委員会を置きまして、その需給や確保に関する事柄につきまして検討を開始しております。また、平成三年三月には、厚生省から、昭和六十三年八月に策定いたしましたこの需給の見通しの見直しをするように通知もあっております。 現在、高齢化社会に対応するための高齢者保健福祉十か年戦略、これを実施いたしますに際しまして、デイサービスセンターや在宅介護支援センターの整備、それからねたきり老人ゼロ作戦の展開、訪問看護等老人福祉分野への看護職員の需要の拡大、週休二日制、育児休業の実施、夜勤体制の改善等、労働条件の改善等の問題について調査を継続して実施中でございまして、現在実態調査を取りまとめ中でございます。この調査結果を踏まえて、需給計画を見直すことといたしております。 なお、看護婦養成施設の整備につきましては、本年四月、本渡市において、本渡市立看護専門学校が開校したところでございます。国におきましては、医療関係教育指導者等の養成に関する検討会が発足し、大学設立の可能性等についても検討が始められたと聞いております。その動向を見守りたいと存じます。  〔中島絹子君登壇〕 ◆(中島絹子君) 労働委員の任命につきまして、知事は、おかしくないというようなことでございましたけれども、委員任命の基準となる労働省事務次官通達、これでは系統別組合に比例するということがここにありますけれども、これは昭和二十四年七月二十九日に出されておりますが、これは、労働組合が併存する場合の平等の権利を認めたものであると思います。知事の言われる公正、公平、公明と、こういうことでぜひ御検討いただきたい。公平を欠いだものだということを改めて申し上げたいと思います。 看護婦さんの問題については、新潟県は七億六千万ですね、県が予算を組んで看護婦確保対策を今年行います。一九九四年四月に開校で県立の看護大学も設立されるということですし、民間にも建設事業に三億円出すというようなことで、抜本的な対策が新潟県ではとられているわけですので、ぜひ今の看護婦さんの労働条件改善のために、労働行政モデル県の第一歩を看護婦さんで開いていただきますように重ねて求めておきたいと思います。 次に、水俣病の問題について知事に質問をいたします。 日本共産党は、かねてから水俣病問題の解決として、被害者の救済、破壊された環境の復元、地域再生を主張してまいりました。中でも被害者救済は、一日も早くということを含めて最大の課題であります。 さて、知事は、今議会の冒頭提案理由の説明の中で水俣病問題に触れ「和解協議の促進に積極的に取り組んで参ります。」と述べておられます。今全国で二千名を超える人たちが裁判に訴えています。そして各地の裁判所の和解勧告により、国は依然としてテーブルに着いていませんが、和解協議が進められています。私たちは、この勧告に基づいて、被害者救済に注目し、強い期待を持っています。 知事は、水俣病問題が「長年にわたる県政の最重要課題である」と述べられました。その県政の最重要課題である水俣病の解決のために、今県に求められているのは、一口で言えば、原告の要求にもっと近づける形で見直しを行い、その立場で国に対して和解協議のテーブルに着くよう働きかけていただくことだと思います。県が、被害者、原告の願いに沿った解決への追求をするのでなく、原告の要求に背く態度をとることは、県下の自治体での決議にも見られるような県民の意見にも反するものになると言えると思います。被害者救済の全面解決は、県が被害者の立場に立って、国にテーブルに着くことをさらに強く求めていくという方向でこそ図られるものだと思います。 先日、議会開会中には出したいと言われました県の見直し案を、今申し上げました観点でなされることを強く望むものでございますが、知事の見解をお聞かせください。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 私も、裁判所の和解の勧告、でき得ればその和解の勧告の機会に国も乗っていただいて、この問題を一日も早く解決に向かってその機会としたいという気持ちを終始一貫持っておることは、しばしば答弁で申し上げたところであります。 残念ながら、現在、国がそのテーブルに着こうとされないその現状についても御報告を申し上げました。そして、しかしながら、いずれの日にか、やはり和解を通じて早期の解決を図らなければならない日が来るのではないか。そういう意味で、今後とも国の関係省庁に和解に着かなければならないという私たちの気持ちのあるところを十分に理解を深めていただく。まあそういう努力を、従来もいたしてまいりましたし、今後も引き続いていたしてまいりたいと考えておるところでございます。 和解の県の見直し案を原告の要求に近づけていけということでありますが、今の原告団側の要求というのは、まあいろいろのことがありますが、和解の一時金に関して申し上げますと千六百万円、これは従来の補償協定に基づくCランクそのものであります。和解というのは、今までのそういう補償協定なら補償協定と、また新たなものとの間において、新しい和解の話し合いというものが行われるというのがむしろ自然な話でありまして、原告団そのものが、そのCランクの要求そのままにとどまっておる、それから一歩も動かないという段階であれば、これは和解の話し合いというものを進めていくということも大変困難なことではないかということを、この県議会におきましても御答弁したところでございます。今後とも国に対する和解の働きかけについては御趣旨のとおりいたしてまいりたいと思っております。  〔中島絹子君登壇〕 ◆(中島絹子君) 水俣病の御答弁ありましたけれども、やはり原点に立って解決をされるようにすることが大事だと思います。世界最大の公害と言われる水俣病公害は、利潤追求のためには、住民の人権どころか人命までも犠牲にするという、まあ独占資本と政治の本質を象徴的にさらけ出した一つだと思います。 去る十五日の熊日新聞に「何が水俣病を拡大させたか」という社説がありましたが、それによりますと、昭和三十四年十二月、工場排水規制法に基づく特定施設の対象に、チッソ水俣工場も入っていたが、施行令ではいつの間にかそれが外されていたと述べ、「三十四年当時でも、何らかの規制があれば」水俣病の「被害の拡大は十分防げたはずである」この「事実だけは変わらない。」と、こういうふうに言っております。水俣病を引き起こした責任はチッソと行政にあります。被害者には何の責任もないんですから、改めて被害者の立場に立って見直し案をつくるとともに、国に対して解決のテーブルに着くよう、強く求められることを再度要望をいたしまして、次の質問に入ります。 災害治水対策についてお伺いをいたします。 住民の福祉とともに、生命、財産の安全を確保することは、地方自治体の第一義的な責務でございます。安全を確保する上で第一にやらなければならないのは災害対策です。 昨年の七・二水害は、一の宮町を初め県下各地に大きな被害をもたらしました。県都熊本市でも各地で出水し、被害が続出しました。あと一時間雨が降り続いていたなら、熊本市中心部の鶴屋百貨店付近まで浸水し、さらに大きな被害が出ていただろうと、建設省熊本工事事務所は予測しています。まさに危機一髪という状況でした。しかし、それにもかかわらず河川改修は遅々として進んでいません。県内河川の危険箇所は、五年前の一九八六年には七百二カ所でしたが、今年度は七百八十カ所にふえています。特に県関係の河川の危険箇所は、五年前の四百三十六カ所から五百三十一カ所へと、この間、九十五カ所も増加し、延長キロ数で百四十四キロメートルにも危険区域がふえているのです。このうち最も危険な区域、Aランクに指定されている箇所は百七十一カ所もあり、五年間で二十九カ所もふえています。また、県管理の河川改修整備率は全体で三一%にすぎません。ところが、今年度の河川改良事業の県予算額は、これだけ危険箇所、危険区域がふえ、しかも地価が高騰し、改修に伴うコストがアップしているにもかかわらず、昨年とほぼ同額の予算しか計上されていません。県民の命と安全を守ることを最優先とすべき自治体の本来の使命を果たすためにも河川改修整備費の大幅な増額を強く求めます。 次に、白川改修についてお尋ねいたします。 白川は、熊本市街中心部を貫流する一級河川であり、九州のどの都市にもない特徴を持っていますが、また、これほどたびたび水害を引き起こしている河川もありません。白川は、この十一年間に三回も水害をもたらしました。国の改修目標から見ても、現在の流下能力は約半分にも満たず、水防上危険な区域とされている所は、五年前よりもさらに六カ所もふえ、全部で三十八カ所になっています。また、そのうち最も危険だと見られるAランクの地域が二十七カ所もあります。堤防整備率も、昨年度末でわずか二九%にすぎず、国管轄河川の全国平均四五・七%を大きく下回っています。それにもかかわらず、白川改修の事業費は五年前とほとんど変わっていません。これでは今後五十年かかっても改修を完了することはできないということになります。 このような白川改修のおくれについて、県当局はどのような認識をお持ちなのか、また、国に対してどのような働きかけをしていかれるのか、具体的な答弁を求めます。 次に、流下対策について質問いたします。 治水対策を進める場合、河川改修とともに流域での対策が必要です。熊本市では、流域対策として、帯山中学校のグラウンドに雨水浸透貯留施設を設置するなどを進めています。また、坪井川や井芹川流域などの浸水対策として、排水ポンプの設置などを実施しています。全県的にもこうした事業を治水対策として進めていくために、県独自の助成制度をつくり積極的に普及していかれるおつもりがおありなのかどうか、執行部にお尋ねをいたします。  〔土木部長杉浦健次君登壇〕 ◎土木部長(杉浦健次君) 治水事業は、社会資本の整備の中でも最も基本となるもので、県としても河川改修には最大限の努力を重ねているところでございます。しかし、率直に申しまして、これまでの国の予算の抑制だとか、あるいは用地費の高騰などで、河川事業を取り巻く状況は決して順調とは言いがたい状況でもございます。このため、平成四年度から新たにスタートいたします第八次治水五カ年計画におきましては、大幅な公共事業の投資の拡大の推進を図るべく、国に対して強く要望してまいりたいと、かように考えております。 白川の改修でございますが、昭和二十八年の大水害を契機にいたしまして、三十一年度から国の直轄事業として改修が行われております。その進捗状況は、お話にありましたように、平成二年度末で三〇%弱というふうに聞いております。この間、昨年の七月の出水も含めまして数度のはんらんがあって、県としても、この改修は緊急かつ重要な課題というふうに認識しているところでございます。国に対しても早急な治水効果の発現に努められるよう、強くお願いをしてまいっているところでございます。 また、近年の都市型の水害に対しては、河川の整備だけでなく、流域の持つ保水・遊水機能の保全が重要であるというお話、ごもっとものことでございます。県といたしましても、遊水地などの面的な流域対策に取り組んでおるところでございまして、さらに各市町村と連携し、学校、公園などの公共施設を用いた雨水の一時的な貯留に取り組みたいと考えております。しかし、これには各施設の管理者の御理解と御協力が不可欠でありまして、これらについて積極的にその必要性を説き、普及に努めてまいりたいと考えております。  〔中島絹子君登壇〕 ◆(中島絹子君) お答えをいただきましたけど、もう少し具体的なお答えをいただきたかったと思いますけれども、まあ流域対策でもやっていきたいというようなことだというふうに理解をしたいと思います。 治山治水というのは政治の重要な責任とされて、これに成功するか否かは、時の政治を評価する一つの尺度とさえ言われてきました。こういう点では、これだけ河川改修が進まないというのは県政の怠慢と、そういうふうに言わざるを得ないと思います。危険箇所は逆にふえているわけです。今年度の予算を見ても普通建設事業費が一一%の伸びを示して、そしてまた、日米構造協議で政府がアメリカに約束した、十年間で四百三十兆円の公共事業計画に沿った港湾整備とか、高速道路建設などの公共事業費は大幅に増額をされています。河川改修のための整備費は、これに比べて本当に貧弱そのものだ、放置されていると。こういう県の姿勢を改めていただくことなしには、この治水対策というのは抜本的に強化することはできないと思います。 このことを最後に申し述べまして、次に、ここで順番をちょっと変えさせていただいて、ゴルフ場の問題について質問をしたいと思います。 現在、地下水涵養域などにゴルフ場建設が次々と進んでいます。県内のゴルフ場は、計画中のものまでも含めれば、面積で約七千二百五十ヘクタール、県土の〇・九八%を占めるまでになっています。このようなゴルフ場の乱開発は、農薬の散布などによる地下水、河川の汚染、保水力の低下による地下水涵養能力の低下、自然・生態系の破壊、水害の危険など、さまざまな問題を引き起こしています。 県は、こうした状況のもとで、これまで県内のゴルフ場の総面積を県土のおおむね一%以内として総量規制してきました。知事も、朝日新聞や毎日新聞のアンケートに対し、全国に先駆けての県土一%規制は今後も堅持すべきだと公約をしておられました。ところが、その後知事は、この一%枠規制について見直しもあり得るとの立場を表明、昨日の議会でも、今後白紙で検討していくなど答弁の中でされています。選挙で県民に約束をした公約を守るのか、それともこれを破って一%を見直すのか、その問題について明確な御答弁を求めます。 地下水涵養域、とりわけ水源地周辺でのゴルフ場の乱開発については、今各地で住民の反対運動が起きております。熊本地域の中でも一級の地下水涵養域である大津町では、水道水源のすぐ近くにゴルフ場が建設されようとしています。また、熊本市の北部町と河内町にまたがる地域にもゴルフ場建設の計画が進んでおり、熊本市によると、旧北部町から水道水源の汚染が心配だと県に意見書も提出されています。このような地域でのゴルフ場については、たとえ県土一%枠内であろうとも建設を認めるべきではないと思います。 地下水涵養域、とりわけ水源地や取水地点周辺のゴルフ場建設については、住民の安全と地下水の保全を優先するという観点から、現在計画中のものも含め、全面的に禁止することが必要です。明確な御答弁をいただきます。 次に、ゴルフ場の農薬汚染についてお尋ねいたします。 八九年度に実施した県の調査によりますと、県内の既設ゴルフ場で使われた農薬の中には発がん性が指摘されている農薬などが含まれています。県は、昨年「ゴルフ場における農薬の安全防除指針」をつくりました。ところが、これを見ますと、環境庁が暫定指導指針で示した二十一種類のほかに五種類を追加して認めています。しかもこの中には、キャプタンやアシュラムなど、国際がん研究機関が人に対する発がんの可能性が高い物質として挙げている物質や、アメリカ環境保全局が発がん性が疑われる農薬として公表しているもの、アメリカで禁止されているダイアジノンなどが入っています。このような危険な農薬の使用を認めている安全防除指針については直ちに改め、発がん性が指摘されている農薬などの使用を禁止すべきです。また、水源地や取水地点周辺のゴルフ場での農薬使用は直ちに全面的に禁止する措置をとることが求められています。 以上、ゴルフ場の問題について質問をいたします。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) ゴルフ場の件についての基本について、一%問題について私からお答えをいたしたいと思います。 私は、一%を緩和すべきであるというふうに申し上げたことは全くないわけでありまして、かつ、今御指摘のように、選挙の公約の際に、一%を守っていきたいという気持ちを申し上げたこともこれまた否定いたしません。ただ、その後、県庁に登庁をいたしましてから、この問題を詳細に勉強をいたしました機会に、現状のまま計画中のゴルフ場が全部できるとして、まあ全部完全に順調にできるということはなかなかこれ考えにくいことだとは思っております。まあしかし、それが一応完全にできるとすれば一%ほぼ近くまでいってしまう、そういう状態で考えたときに、今計画中のものができたという前提で、全体の県下のゴルフ場の分布を考えていった場合に、やはりどちらかというと、むしろおくれた地域、過疎地域に、これからゴルフ場をつくりたいと言われるような地域が、ここでストップしてしまって果たしていいんだろうか。県政のバランスある発展と県土のバランスある発展ということを考えた場合に、果たしてそれでいいんだろうか。まあそこに一つの問題意識があるわけであります。 計画中のものが、ある時期にきれいにできるものとできないものとに仕分けされると、これはあるいは簡単なのかもしれません。できないところの分を利用して、まだ新しいものがまた登場できて一%の中で簡単におさまってしまうのかもしれませんが、そこのところの整理が、今の段階で行政の場においてできないものですから、特に、これからのしばらくの間、そういう問題を含めてどう取り扱ったが一番現実的か、県土の均衡ある発展ということを考えた場合にどうこの規定というものを考えていったがいいか。極めて弾力的にも書いてありますから、あるいは場合によっては、その弾力的に書いてある条項を援用しながら問題が解決できるかもしらぬ。まあいずれにしても、いろいろの御議論をいただいて、そして間違いないように判断をしていきたいというつもりであります。 なお、自然あるいは環境を破壊をしてはならない、まあそういう意味では全くお話しのとおりの気持ちであります。やはりゴルフ場によって環境が破壊をされるということは、これはもう一%の問題で全く切り放した問題として、当然そのことは考えていかなければならない問題であろうと思っております。  〔企画開発部長飯原一樹君登壇〕 ◎企画開発部長(飯原一樹君) ゴルフ場開発事業に伴います地下水の保全につきましては、必要に応じて事前指導を行っているところでございまして、その際には、森林の持つ水源涵養機能を高度に発揮させるため、保安林の指定を行い、その森林の適正な保全に努めており、また、財産権の保護や地域の振興、活性化などの観点にも配慮し、総合的な検討をしております。今後とも、自然環境や生活環境にも十分配慮し、ゴルフ場開発との調和を図りながら、適切な指導に努めていく所存でございます。  〔農政部長木村幸次郎君登壇〕 ◎農政部長(木村幸次郎君) 農薬使用に関しましては、人の健康を保護し、周辺の生態系の保持、保全に配慮しなければならないことは、申すまでもなく大変重要なことでございます。このことから、ゴルフ場の農薬につきましては、国が安全性を確認した上で、農薬取締法により登録したものを、県の「ゴルフ場における農薬の安全使用に関する指導要綱」に基づきまして使用するよう指導しておるところでございます。 県の防除指針につきましては、昨年度、学識経験者などで構成をいたします安全防除指針確立委員会を設置をしまして、厚生省と環境庁が示した水道水についての水質目標やゴルフ場排水の水質の暫定指針を参考にし、現在知り得る科学的知見に基づきまして使用基準等を定めたものでございまして、お話にあった点での安全防除指針の見直しは考えておりません。  〔中島絹子君登壇〕 ◆(中島絹子君) お答えをいただきましたけれども、知事は一%を守らないと言っているのではないというふうにおっしゃったようですけれども、その一%公約を守りますというふうにははっきりおっしゃらなかった、そこら辺が非常に残念だと思います。 あと時間がありませんので、次に進みますけれども、次は、江津湖の自然修復、再生の問題について質問いたします。 江津湖は、熊本市のオアシス、憩いの場として広く県民に親しまれています。ところが、この江津湖の湧水と自然が今危険な状況に置かれています。江津湖の湧水が減少し水位が減少していることは、市民の目にもはっきりわかるほどになっております。昨年七月に発表された熊本市水問題推進懇談会の「水前寺・江津湖公園の自然を修復するための提言」では、「上江津湖及びその上流域は、湧水の減少と、流速の低下により土砂や有機物が堆積して陸化が」進み、「湖水としての末期的症状を呈するに至った。」と指摘しています。また、下江津湖についても「生物がほとんどすめない深刻な状態となった。」と報告しています。このような危機的状況にある江津湖の自然を修復することは多くの市民の願いとなっています。 県は、ことしの十月から、江津湖をしゅんせつする計画だと聞いています。しゅんせつについては、さきの熊本市水問題推進懇談会からの提言もありますが、研究者や専門家の間では、中の島の撤去の問題も含めて、具体的なあり方ややり方をめぐってさまざまな見解の相違があり、十分な検討が必要な状況となっています。 ところが、このしゅんせつ計画について、多くの研究者や専門家の英知を結集して十分に研究し、検討していく体制があるかといえば、実際にはないというのが実態であります。県は、このような江津湖しゅんせつについての研究体制を急いで確立すべきだと思いますが、この点についてお尋ねいたします。 江津湖の自然を再生させるためには、しゅんせつとともに、江津湖周辺の施設化による湧水の減少を食いとめ、現在残っている貴重な自然を保護することも大切です。しかし、現実には、この点での取り組みが弱く、自然がどんどん破壊されています。さきの懇談会の提言でも、自然度の高い湧水域である砂取・神水湧水地域については、自然保護地区として指摘し、その中でも、特に上江津湖の野鳥の森とその周辺地域については第一級の自然保護地区として保護すべきだとしています。ところが、実際は、この野鳥の森を分断する形で都市計画道路船場神水線が計画されており、もしこのような道路と架橋が建設されるとすれば、貴重な江津湖の自然が破壊されてしまいます。 県は、現在この野鳥の森の水際に近い所を県有地として整備していると聞いていますが、そこには都市計画道路が走ることになるのです。熊本市では環境調査を実施し、慎重に検討しているところですが、県として、この野鳥の森を保護する立場を明確にして、都市計画道路の建設を見直すつもりがあるのかどうか、お尋ねをいたします。 また、砂取・神水湧水地域を県条例に基づき自然環境保全地域に指定するおつもりはないかどうか。とりわけ、その中でも野鳥の森とその周辺地域については、県有地としてすべて買い上げ、自然環境保全地域として特別に保護するおつもりがあるのかどうか、お伺いをいたします。  〔土木部長杉浦健次君登壇〕 ◎土木部長(杉浦健次君) 江津湖の流域は、都市化によりまして、産業あるいは生活の雑排水が流入し、ヘドロが堆積するとともに、湧水量が減少しておりまして、近年その環境が悪化しております。 江津湖については、しゅんせつの計画をいたしまして、六十三年度に各方面の専門家から成る江津湖環境整備調査を実施いたしました。それに基づいてしゅんせつ事業を計画しているところでございます。工事に当たりましては、環境に十分配慮しながら、関係機関の意見を聞き、江津湖の内水面漁業組合の御協力もいただきながら、工事を推進してまいりたいと考えております。 また、都市計画道路のお話でございますが、船場神水線は、熊本市中心部と東部を結ぶ路線でございまして、都市計画道路新市街水前寺線、通称電車通りでございますが、とともに、熊本市における東西方向の主要な都市軸を構成するものであります。道路交通の円滑化あるいは都市機能の向上を図る上で大変重要な幹線道路であると考えております。 ただ、この道路は、お話しのように江津湖の一部を通過することから、整備に当たっては自然環境等との調和に十分配慮していく必要があると考えております。現在、事業主体であります熊本市におかれまして、環境面も含めて調査、検討を進めておられると伺っております。その検討状況を見守りながら対応してまいりたいと考えております。  〔環境公害部長魚住汎輝君登壇〕 ◎環境公害部長(魚住汎輝君) 当該地域を自然環境保全地域として指定をせよという御質問でございますが、熊本県の自然環境保全条例は四十八年に制定されたわけでございますが、現在、県下は五地区を指定をしております。その中で、波野村のスズラン群生地や球磨地方の天然林等でありまして、これらは、自然の状態が維持されている地域、いわば人手が加わっていない状態の自然を後世に残そうというものでございます。また、国の方針では、市街化区域は原則として自然環境保全地域の指定をしないということになっております。したがって、お尋ねの地域は、市街化区域でございまして、自然環境保全地域の指定は困難であると考えております。 しかし、この地域は、都市公園としての施設整備が進んでおりまして、市民の日常的な憩いの場として活用されております。そういうことでございまして、また、この地域の各種事業を行う際に関しましては、自然環境との調和をどう配慮するかというのは、別の観点から考慮すべきものであると考えます。 ○副議長(八浪知行君) 中島絹子君。──残り時間が少なくなりましたので、質問を簡潔に願います。  〔中島絹子君登壇〕 ◆(中島絹子君) 今江津湖について御答弁がありましたけれども、本当に江津湖の自然を再生させるために、しゅんせつを成功させるかどうかがかぎになっております。一度やってしまえばやり直しがきかないというような点もありますので、慎重にこれはやっていただきますように、再度要望をしておきたいと思います。 それから、先ほどの御答弁では、江津湖は都市公園に指定されているのでということでしたけれど、これでは湧水地域や野鳥の森の自然を保護することはできないと思います。このような地域については、やっぱり行政が責任を持って優先的に保護していく必要があると思いますし、このような立場でですね、県が本当に江津湖の、市民のオアシスであります江津湖の自然環境を保全するために、積極的にこれはそのために取り組んでいただくように、再度求めておきたいと思います。 あと、地下水保全問題について質問を用意しておりましたけれども、ちょっと時間がありませんので、時間のある限りやりたいと思います。 熊本市とその周辺住民にとって、命の水ともいえる地下水が、今汚染と枯渇の危険に見舞われています。有機塩素系溶剤など有害物質による地下水汚染は、熊本市の全域、そして全県にも広がっております。今回の議会の中でも繰り返し取り上げてまいりましたけれども、その中で、環境公害部長のですね、高平台のあの問題について、地下水のメカニズムを調べるのにも大変難しいんだというようなお話もありましたので、私はです、こういう地下水のメカニズムや複雑な地下水の流れなど、精度の高い、長期的、系統的な基礎データの蓄積など、そのために…… ○副議長(八浪知行君) 所定の時間を超えていますので、質問を終結願います。 ◆(中島絹子君) (続) 地下水研究センターをぜひ設置して取り組んでいただきたいという要望をひとつ申し上げまして終わりたいと思います。 どうも御協力ありがとうございました。(拍手) ○副議長(八浪知行君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明二十六日は午前十時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第五号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後二時三十六分散会...